2012年7月4日水曜日

sagging pants 腰パン 今は減ったなあ・・・


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


saggingはsagという動詞で、「下がる」「垂れる」の意味。pantsは下着のパンツではなく、「ズボン」のこと。sagging pantsは「垂れ下がったズボン」。カタカナ読みは「サギング・パンツ」。saggy pantsともいう。スラックスやジーンズを腰骨よりも下にずらし、尻のところにぶら下げるようにしてはくこと。その結果、下着が露出する。日本では「腰パン」「尻パン」と呼ばれるスタイル。
sagging pantsは、ヒップホップ系文化の流行とともに若者の間に広まった。日本にも1990年代に輸入されて流行。「だらしない格好」と批判され、校則違反の服装の1つとなった。米国の学校でも、ピアスやミニスカートとともにdress code(服装規定)で禁止。保守派はそのスタイルに〝当局の権威〟に対する反抗的なムードを見て取り、“prison mentality”(囚人根性)と嫌悪する。その由来に関しても、刑務所の受刑者がダブダブの囚人服を着せられ、自殺防止のためにベルトを取り上げられるのでズボンが下がる、との説がある。
さて、ルイジアナ州南部にあるデルカンバーの町では、2007年6月から公けの場所で下着が見えるsagging pantsは〝わいせつ〟だとして、条例で禁止。違反者は500㌦の罰金、または6カ月以下の禁固刑が課せられる。また、同州北部の町マンスフィールドでも同年9月15日から禁止。違反者は150㌦に裁判費用を加算した罰金か、15日以下の禁固刑となる。〝腰パン禁止条例〟制定の動きはその後、ジョージア、ニュージャージー、フロリダ州などに拡大している。
   ニューヨーク・タイムズ(2007年8月30日付)の“Are Your Jeans Sagging? Go Directly to Jail.”(お前のジーンズは垂れ下がっているか?それなら監獄に行け)という記事によると、sagging pantsは黒人の若者の間に根強く広がる一方、禁止条例は保守派の黒人層の幅広い支持を得ているという。黒人層でも今や世代ギャップが顕著で、旧世代はヒップホップ文化に反感を持つ人が多い。「ズボンを下げて歩くようなヤツは、ロクな人間にならない」という〝親の世代〟が、条例を後押ししているという。
一方、若い世代はsagging pantsをファッションととらえている。ファッションである以上、憲法によってfreedom of expression(表現の自由)が保障されている。フロリダ州リビエラ・ビーチで腰パン禁止条例に違反した少年が逮捕されたが、パーム・ビーチの巡回裁判所は2008年9月、憲法違反であるとの判断を示した。
だが、対立は収まらない。ダラス・モーニング・ニュース(2008年9月23日付)によると、テキサス州フォートワースでは、モンクリーフ市長がanti-sagging pants campaign(腰パン反対運動)を展開する意向を表明、“Pull ‘Em Up”(そいつを上げろ)と書いたステッカーをパトカーや公共施設の壁に貼るという…。The Sankei Shimbun(September 23 2007)「グローバル・English」はこちらへ