2013年12月14日土曜日

illusionとdelusion 違いは?


illusion or delusion?
どちらも、“mental experiences that appear realistic or believable but have, despite their vividness, no objective reality”(現実のように、信じられるように見える心の経験であるが、その鮮やかさに関わらず、客観的な現実の裏付けはない) 英和辞典によると、illusionを幻影、まぼろし、あるいは思い(勘)違い、錯覚などと訳す一方、delusionを迷い、惑い、妄想、思い違いなどとしている。英語の辞書でも両者は同義語であり、混用されるケースも多い。だが、両者には明確な違いがあるのだ。

illusionの語源は14世紀にさかのぼり、act of deception(欺瞞行為)を指す。それによって人をmock at(嘲る)という。つまり、騙しの要素がある。そこで「まぼろし」という訳が出て来るわけ。一方、delusionは、15世紀に生まれた言葉で、語源はact of misleading someone(人を誤った方向へ導く行為)。その結果、その人は mental derangement(精神的な錯誤)に陥るという。つまり、その人の心の働きによりもたらされるものだから「迷い」「妄想」などと訳せる。

さて、ZDNet (2013年11月25日付)は、“Are virtual currencies reality or illusion?”(仮想通貨は現実のものか、あるいはだまくらかしの幻想か)との記事を掲載した。virtual currency(仮想通貨)とは、Bitcoinなどネットで流通する新しい通貨をいう。“Federal Reserve chairman Ben Bernanke's earlier statement is that such currencies ‘may hold long-term promise, particularly if the innovations promote a faster, more secure and more efficient payment system.’”(アメリカ連邦準備制度理事会のバーナンキ議長の初期の声明では、そうした通貨はとりわけ、技術革新がより早く、より安全な、より効率的な支払いシステムを促進するならば、長期的には見込みがあるかもしれない、としている) しかし、“Within days of all this optimism, a collapse in the yuan-denominated market for Bitcoins in China, triggered by a wave of panic and profit-taking, brought investors back down to earth.”(この楽観的なムードの中で、中国の元建てビットコイン市場が、パニックと利食い売りの波が引き金となって暴落、投資家は徹底的に叩きのめされた) back down to earthは「現実に引き戻される」という意味。筆者のこれまでの結論は、仮想通貨はillusionである。

このほか、“Life is only illusion.”(人生はまぼろしにすぎない)などという表現もできる。よく使われる optical illusion は錯視。

一方、AP通信(2013年12月7日付)は、“Idolizing dead celebrities an exercise in self-delusion”(死んだ有名人を偶像化することは自己欺瞞の業)との見出しで、例を挙げている。ケネディ大統領の場合、“Had he lived, John F. Kennedy would have ended the Vietnam War, ushered in a new era of tolerance and respect and become the proud mascot for a generation of young people devoted to public service.”(もし彼が生きていたら、JFKはベトナム戦争を終結させて、寛容と尊敬の新時代を生み出して、社会に貢献する若者世代の誇れるマスコットになったであろう) だが、事実は逆。米国史上屈指の好戦的な大統領で、米ソ冷戦を助長して泥沼のベトナム戦争に突入、キューバ危機を招き、さらに宇宙戦争まで招来しようとした。マリリン・モンローとの情事で有名となり、1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。

そのほかの用例では、“Prime Minister Shinzo Abe is under the delusion of ‘Rich Country, Strong Military,’ peddling its illusion.” なんちゃって。





2013年12月9日月曜日

PANKとMILF 甘えたくなる女性


PANK(パンク)は“Professional Aunt, No Kids”(働くおばさん、子供なし)の頭文字語。A woman without children who dotes on her nieces and nephews(子供がなくて姪や甥を可愛がる女性)である。

英Telegraph(2013年11月11日付)によると、“Their numbers are growing: Nearly 20 percent of American women reach 40 to 44 childless, compared with 10 percent in the 1970s, said a 2008 Pew Research Center report.”(彼女らの数は増えている:2008年のピュー・リサーチ報告は、40歳から44歳になって子供のない米国女性は、1970年代には全体の10%だったのに比べて、今はほぼ20%に達しているという)

もちろん、これらの女性がみんなPANKというわけではない。米Minneapolis Star Tribune(2012年2月12日付)は、“PANKs: Happy with the role of aunt.”(PANK:喜んでおばさん役を務める)と述べている。ネット上には、こうした女性のコミュニティもできている。その一つ、Savvy AuntieはこうPRしている。“PANK is the new pink; it’s the new, modern segment of women finally getting the attention it deserves through Savvy Auntie ― the first online community for Aunts.”(PANKは新しいピンク=日本でいうナデシコ。最初のおばさんのオンラインコミュニティである「粋なオバちゃん」を通じて世間の注目を集めるに至った現代的な女性の一群)という。PANKはこのコミュニティの登録商標であるという。

PANKは、子供目線がある。というのも、自分を甘やかしてくれるし、高価なおもちゃも買ってくれるというわけだ。セレブのPANKには女優のCameron Diaz =Photo=や Jennifer Anistonがいる。“Diaz, who has no children, was present at the birth of all her three nieces and admits she spoils them rotten.”(子供のいないディアスは、3人の姪の誕生日に出て、うんと甘やかしているわといっている)

ところで、おばさん世代の女性のもう一つの略称がMILF というスラング。“Mother (or ‘Mom') I'd Like (to) Fuck” の頭文字をつないだもの。Motherは本当の母親というよりも、母親と同じくらい年上の女性という意味で、PANKと重なる世代といえる。MILFは性的な対象としての年上の女性を指し、日本語の「熟女」に当たる俗語。1990年代からネットに登場し、1999年のセックスコメディ映画American PieでJennifer Coolidgeの ‘Stifler’s Mom’ のキャラクターで一躍知られるようになった。現代では、アダルトビデオの「熟女もの」の代名詞である。

Wikipediaによると、派生語として、50歳代半ば以上、または実際に祖母である女性の場合はMがgrandmotherのGに置き換わり、GILFなどというそうだ。2008年アメリカ大統領選挙における共和党の副大統領候補者サラ・ペイリンはVPILF(Vice President I'd Like to Fuck)、あるいはGILF(Governor I'd Like to Fuck) と言われたとも。

PANKもMILFも、子供や若者を虜にする存在であるようだ。


2013年12月1日日曜日

404 世界中に知れ渡った単語!


404(four oh four)はウェブの三桁番号で、“Not Found”(見つかりません)の error message(エラーメッセージ)。HTTP standard response code(HTTPの標準応答コード)の一つで、ユーザーはサーバーに接続できたものの、サーバーが該当するウェブページを発見できなかったことを指す。すなわち、failure(失敗)を意味する。

世界中の英語の動向をウォッチする Global Language Monitorは、404とfail(失敗する)を2013年の流行語大賞に選んだ。講評は以下の通り。

404 ー The near-universal numeric code for failure on the global Internet.(グローバル・インターネットにおいて、「失敗」を意味するほとんど普遍的なコード)
fail — The single word fail, often used as a complete sentence (Fail!) to signify failure of an effort, project, or endeavor.(単語のfailは、しばしば完成文として用いられ、努力や事業、または試みの失敗を意味する)

では、「成功」を示すHTTPの標準応答コードは何か?“For a normal web page, the status is 200 OK.” (通常のウェブページにとって、ステータスは200でOK)。だが、うまくつながった場合は、もちろんこのメッセージは不要となり、ユーザーには見えないのだ。

ところで、404が流行語になったのは、それだけページ・エラーが激増している背景がある。ある批評家は、“Trend of the day: 404 Fatigue”(今日のトレンド:404による慢性疲労)と皮肉るほど。これは、一般のウェブサイトのデザインの技術レベルと、使用されるブラウザや検索エンジンの技術レベルの格差が大きく開きつつあることから生まれた現象であると考えられる。とくに、ブラウザと検索システムは一体化する傾向が強まっており、マイクロソフトやアップル、googleなどは、独自のシステムでユーザーの囲い込みを進めていて、昔ながらの技術レベルで作られたサイトは取り残されていく傾向にある。とくに、googleの検索でトップにランキングされるためには、この404エラーの解消が大きな課題となっている。

さて、404は今や一般名詞として使われるようになりつつある。例えば、2011年のギリシャでの反政府デモでは、“Error 404: Democracy not found” (エラーコード404:民主主義が見つかりません)というスローガンもあった。また、404は俗語としてclueless(手掛かりなし)の意味でも使われるという。