2012年7月27日金曜日

copycat crime 真似するやつが必ずいる・・・


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 copycat crimeは「模倣犯罪」。カタカナ読みで「コピーキャット・クライム」。crime(犯罪)がcriminalになると「模倣犯」。copycatは、名詞では「人のまねをする者」「模倣する人」で、形容詞・動詞としても使う。
 さて、重大事件が発生すると必ず心配されるのが、連鎖反応というべきcopycat crime。2007年4月16日に起ったバージニア工科大学の韓国人学生による銃乱射事件の後も、カリフォルニアやミシガン州などで大量殺人をほのめかす脅迫電話がかかったり、電子メールが送り付けられたりした。FBI(米連邦捜査局)の報告によると、学校に対する何らかの脅威は5日間で40件に達したそうだ。さらにその後、テキサス州ヒューストンのNASA(米航空宇宙局)ジョンソン宇宙センターで、銃を持った男が人質を取って立てこもり、人質を射殺したうえに自殺する事件まで起きた。
 copycat crimeは、殺人に限らず、銀行強盗、万引き、ネット犯罪に至るまで枚挙に暇がない。犯罪学における“Learning Theory”(学習理論)という考え方に基づくと、人間は poor choices(間違った選択)であることを無視して、modeled successful strategies(成功したモデルケース)をまねようとする傾向がある、とされる。圧倒的多数の人は社会的な利害得失を考えて、バカなまねはしない。だが、まったくの無知や情緒的な障害、publicity seeker(目立ちたがり)などの理由から模倣犯が生まれるという。また、マスコミが事件をセンセーショナルに報道するから模倣犯罪が後を絶たない、という批判や議論も盛んだ。
 ところで、copycatはcopy(コピー)とcat(ネコ)に分解できる。copyの語源は、ラテン語のcopia(plenty=たくさん)。14世紀にはwritten transcript(手書きの写本)を意味したのが、その後、書き物だけでなく他のreproduction(複製)やimitation(模造品)にも拡大。copyが複写を意味する動詞として使われるのは、17世紀からだ。
 copycatの登場は19世紀だが、なぜ「コピー・ネコ」なのか?一説では、kitten(子ネコ)が母親の行動をまねしながら学習することに由来するという。だが、これはウソ。オックスフォード英語辞書(OED)によると、このcatはアメリカ英語の俗語で、人間の蔑称だ。「まねするヤツ」、あるいは「ものまね野郎」くらいの意味であろう。
 実際、まねをするのはネコではなくて、サルを始めとする霊長類。英語のことわざでも“Monkey see, monkey do.”(サルまね)と言い、多分に軽蔑的なニュアンスが強い。最近の研究によると、人間やサルの赤ん坊は母親の顔の表情を見て、口をアーンと開けたり、舌を突き出したり、様々なまねをするが、それにはmirror neurons(鏡ニューロン)と呼ばれる脳細胞が大きな役割を果たしているという。われわれが人のまねをするのには、科学的な根拠があるのだ。The Sankei Shimbun(May 6 2007)