2009年4月29日水曜日

PandemicとEpidemic

 目下、世界の関心事は、the swine flue in Mexico(メキシコの豚インフルエンザ)。The WHO on Monday raised the pandemic swine flue alert level from phase 3 to 4.(世界保健機関は4月27日に警戒レベルを3から4に引き上げた)。つまり、人から人への感染が起こるfull pandemicの状態をいう。Pandemicは「大流行の」(形容詞)「大流行病」(名詞)と訳されるが、語源を調べるとpan-はallで、demicはdemos つまりpeopleで、直訳すれば、「すべての人に」という意味。類語にepidemic(流行病、伝染病)がある。こちらは、epi-がamongまたはuponで、demicは同じだから、「人の間に」流行るというわけ。両者の違いは、流行の規模による。pandemicはwidespread epidemicといえる。
 PS:筆者も先々週から体調を崩して、blogを休みましたが、豚インフルではありません。

2009年4月16日木曜日

Acute

 acuteは英和辞書では「急性」とか「緊急」との訳が付けられている。acute pain(急性の痛み)、acute heart failure(急性心不全)、という一方で、acute care(緊急介護)などと使う。
 オックスフォード英語辞書(OED)によると、語源はラテン語のacutus。元は針を意味し、そこからsharp(鋭い)ことをいう。17世紀には、医学関係でfever(発熱)やdisease(疾病)が急性の場合の形容に使われるようになり、今でもその慣習が生きている。その後、他の分野でも使われるようになった。例えばこれから夏場にかけて、acute water shortage(緊急の水不足)やacute power crisis(緊急の電力危機)が心配されるなど環境問題の深刻さを表す場合にもよく出てくる。
 面白いのは、cute(可愛い)という形容詞はacuteのaが脱落したもので、19世紀になって米国の学生の俗語として使われるようになった。“Acting dumb is not cute.”(おバカは可愛くない)などと使う。が、元の語にある「鋭い」とか、転じてshrewd(狡猾な)という意味がなくなったわけではなく、mob(やくざ)が警察に逮捕された場合、“I want some cute lawyer.”(腕利きの弁護士を呼べ)などと使う。
 

2009年4月10日金曜日

Hang in there


 Reassuranceは「大丈夫だという保証」そして「安心」(4月6日付け産経新聞朝刊文化面に掲載)。その最後に、“Things look really bad, but hang in there! Everything is going to be OK.”(ものごとは本当に悪く見えるが、しかし、がんばれ!すべてうまくいくさ)と書いた。ここで、言いたいのはhang in there。カタカナ読みは、「ハンギンゼア」。
 hangは「掛かる」「ぶら下がる」という動詞だが、onの前置詞が付いてhung onになると、「しがみつく」とか「辛抱してやりぬく」。hang in thereは、口語表現で、「困難に負けず、やりぬく」という意味になる。
 昨秋以降、世界は経済危機に突入した。ある実業家は“We started with the nuclear holocaust, now we’re going through the nuclear winter.”(核爆発が起こり、今やわれわれは核の冬に遭遇している)と語った。だが、切り抜ける手段はたった一つしかない。ウィンストン・チャーチルの言葉。“If you’re going through hell, keep going.”(地獄を通っているとしたら、歩み続けよう)。このスピリットがhang in thereである。