2012年7月2日月曜日

subprime loan


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 subprime loanは、カタカナ読みで「サブプライム・ローン」。「低所得者向け住宅ローン」と当初は訳されていたが、米国の金融危機で問題が大きくなるに従って「信用力の低い個人向け住宅ローン」と、訳語が変化してきた。
subprimeのprimeは「最良の」という意味。米国の銀行では優良顧客をprime customerと呼ぶ。つまり、預金が多く信用力が高い客。それと同じでprime loanは信用力が高く、焦げ付きリスクの低い借り手への融資。ところが、その前に「下」を意味する接頭辞のsub-が付くと、信用力は落ちて、貸した金が戻ってこないかもしれないという恐れが出てくる。だから、回収できるうちに回収しろというので、金利はグンと高くなる。その仕組みは日本の〝サラ金〟と同じ。
このsubprime loanを扱う住宅ローン会社が2007年春以降相次いで破綻、“risky-mortgage meltdown”(危険な住宅ローンの〝炉心溶融〟=2007年8月10日付USA TODAYの記事)に発展し、FRB(米連邦準備制度理事会)などがその実態を調査し始めた。その結果、ローン会社が借り手の返済能力をロクに調査せずに、所得の自己申告だけで貸し付ける“stated income” loanであることが判明した。それでは、ウソがまかり通るからliar loan(ウソつきローン)と呼ばれるようになった。その最たるものが返済能力のない“Ninja loan”で、subprime loanの6割がこの類であると推定されている。
 Ninja loanのカタカナ読み方は「ニンジャ・ローン」だが、日本の「忍者」とは関係がない。a type of subprime loan issued to borrowers with “No Income, No Job, and no Assets”と定義される。No Incomeは「所得なし」、No Jobは「仕事なし」、no Assets は「資産なし」で、その大文字の部分をとってNinja。borrowerは「借り手」だから、ここまで来て、アッと思う。subprime loanの実体の大半が「所得も仕事も資産もない借り手」にissue(貸し付け)されていたのである。
 米国経済は2000年にITバブルが弾けて、FRBは低金利政策に転換。それにともなって住宅ローン金利も低下、住宅購入熱が再燃した。住宅価格は高騰し始め、投機に火が付いた。「ローン金利は高くても平気。高値で売り抜けたら、ガッポリ儲かる」というわけで、米国内だけでなくヨーロッパの大手銀行、証券、保険会社までが、寄って集ってsubprime loanのマネーゲームに参入した。
そして、ついにhousing bubble(住宅バブル)が弾け、マネーゲームの張本人はもちろん、資金を貸し付けてきた金融機関にまで〝不良債権の山〟がのしかかることになった。2008年9月、大手証券のリーマン・ブラザーズの経営破綻を皮切りに、株式市場は大暴落、market turmoil(市場の混乱)は全世界に波及。金融危機の影響は収まらず、景気後退が懸念される。The Sankei Shimbun(October14 2007 Ninja loan)