2011年1月3日月曜日

showdown


 showは「見せる」という動詞で、downは「下に」という副詞だから、showdownは「下にさらして見せる」という意味の名詞形。何を下にさらして見せるのか、といえば、トランプの手札。ポーカーなどで手札を示して勝負を決することを指す。転じて、「大詰めの対決」「決着」などの意味で使う。カタカナ読みは「ショウダウン」。
 11月の中間選挙で民主党が大敗し、下院で共和党が過半数を占めて以来、両党のshowdownが相次いでいる。
 CBSニュース(2010年12月3日付)は、“Dems, GOP Continue Showdown over Tax Cuts”(民主党と共和党は、減税をめぐり大詰めの対決が続く)と報じた。ここで、DemsはDemocrats(民主党、複数形に注意)の略。GOPはGrand Old Partyの略で、Republican Party(共和党)の別称である。
オバマ政権は、年末に期限切れとなるブッシュ前政権の富裕層に対する大型減税(Bush Tax Cuts)を廃止する方針だったが、共和党が猛反対。その結果、オバマ政権は共和党の指導部との間で「ブッシュ減税」を2年間延長することで合意した。この減税を含む追加景気対策法案が上下両院で可決され、大統領が署名して成立。だが、民主党内部には「富裕層に対する優遇」への反発が強かっただけに、しこりを残すことになった。
 実は、勝負を急いだのはオバマ大統領だ。ニューヨーク・タイムズ(同11月18日付)は、“Obama Forces Showdown With G.O.P. on Arms Pact”(オバマ氏は、軍事協定に関して、共和党に対決を迫る)と報道。この軍事協定とは、米露が締結した新戦略兵器削減条約(新START)で、その批准が懸案となっている。「核のない世界」はオバマ氏が全世界に向けた公約だけに、“If he fails, he will reinforce the perception at home and abroad that he is a weakened president.”(もし批准に失敗すれば、国内外に、弱くなった大統領と思わせることになるだろう)と述べている。これに対して、共和党側は採決の延期をちらつかせる作戦に出て、まんまと上記の大型減税の延長など見返りの譲歩を引き出すことに成功したようだ。
 英国の小説家H・G・ウェルズは、こう言っている。“In politics, strangely enough, the best way to play your cards is to lay them face upwards on the table.”(政治においては不思議なことに、カード遊びの最善の方法は、テーブルにカードを上向けて置くことである)。なるほど、手の内をすべてさらけ出してshowdownを迫ることが政治の本領だというわけだ。
 だが、国民の側からは別の指摘もある。“The magician and the politician have much in common: they both have to draw our attention away from what they are really doing.”(手品師と政治家は共通点が多い。どちらも実際にやっていることからわれわれの注意を逸らそうとする) The Sankei Shimbun

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