2012年7月31日火曜日

market turmoil 格差社会うむ「カジノ経済」・・・


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


marketは「市場」。turmoilは「混乱」「騒ぎ」を意味する名詞で、market turmoilは「市場の混乱」。カタカナ読みは「マーケット・ターモイル」。
“Lehman Brothers Collapse Stuns Global Markets”(リーマン・ブラザーズの破綻が世界市場を直撃)とCNNが報道したのは、2008年9月15日。“Stock prices plunged in Asia, Europe and the United States.”(アジア、ヨーロッパ、米国で株価が暴落)。その後もglobal stock sell-off(地球規模の株式売却)が起り、世界同時株安の様相を呈するmarket turmoilが注目を集め、その後も余波が続いた。米国の住宅市場のバブル崩壊に端を発した金融危機で、破綻したリーマンをはじめ米国・ヨーロッパの有力証券・銀行が大量の不良債権を抱えていることが明るみに出て、その衝撃でglobal financial crisis(地球規模の金融危機)に発展した。
前哨戦は、2007年2月末のニューヨーク株式市場で起こった。2001年9月の中枢同時テロ直後以来の暴落を記録したのだ。事の起りは連邦準備制度理事会(FRB)前議長、グリーンスパン氏の講演。AP通信社などが世界に打電したその内容は、「米国の住宅市場のバブル崩壊が進めば、その影響が他の経済分野に波及して、米国経済はpossible recession(不況に陥る可能性)がある」。これが市場へのjawboning(口先介入)となった。
グリーンスパン氏は議長だった1996年12月にも、「米国の株式市場をirrational exuberance(根拠なき熱狂)が支配している」と、バブルを警告した。その後、アジアの金融危機が起り、海外のドルが米国に流れ込んで株式・債券を買いまくった結果、本当にバブルが出現。米国民は〝バブル景気〟に酔い、“Roaring Nineties”(怒涛の90年代)などと浮かれた。
ところが、思わぬ落とし穴となったのが、住宅市場。クリントン政権以来の住宅優遇税制のおかげで、中低所得者まで「我が家」の夢が持てたのはよかったが、住宅抵当ローンのなかに、高金利だが焦げ付きリスクも高い “subprime mortgage”(サブプライム抵当ローン)がはびこったのである。しかも、“high risk, high return”(リスクは高いが、儲けも大きい)を狙ってそこへカネが流れ込み、住宅ブームが出現。
だが、ブームはいずれ去る運命にある。2006年初めに200万戸以上だった新規住宅着工戸数が、2007年初めには150万戸以下に激減、バブル崩壊が警告されるようになった。グリーンスパン氏はこう続ける。“If prices go down, we will have problems.”(もし価格が下がれば、われわれは問題を抱えるだろう)。この問題が、market turmoilだ。金融市場の期待は、日常生活の常識と正反対で、価格の上がるのをよしとする。だが、相場の上下は世の常であるだけに、market turmoilは続く…。The Sankei Simbun(April 8 2007)「グローバル・English」はこちらへ