2012年7月3日火曜日

floordrobe


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 floorは「床」で、-drobeはwardrobe(衣装戸棚)の後の部分。床と衣装戸棚が合成された名詞がfloordrobeで、発音は「フロアードローブ」。米国で十代の子供を持つ親ならば、すぐにピンと来る。子供部屋の床に脱ぎ捨てられたズボンやシャツ、下着があちこちに散らかって、まるで衣装戸棚代わりになった状態をいう。
 floordrobeの語は、1994年にワシントン・ポストに紹介されたのが最初とされる。新語や流行語に敏感な人々、いわゆるwordsmith(言葉の鍛冶屋?)からすると、〝言いえて妙〟なcute coinage(上手い造語)で、10年以上経った今日、普通に使われるようになった。“Look at all that floordrobe. You need to hang it back up in your closet.”(あのフロアードローブは何だ。ちゃんと押入れになおしなさい)と、あちこちの家庭から子供を叱る親の声が聞こえてきそうだ。
 ちなみにfloorの場合、前置詞on を伴ってon the floor(床の上に)となるが、「フロアードローブに」という場合はwardrobeと同じくinで受け、in the floordrobeである。
 さて、最近の米語の新造語は、接頭語や接尾語を変えるだけでなく、単語を合成して造ったユニークなものが結構ある。“Word Spy”や“Urban Dictionary”といったインターネット上のオンライン流行語辞書が、こうした新語を紹介している。
 そこで見つけたのがcarbage。car(車)とgarbage(ゴミ)がドッキングしたもので、「カーベッジ」という。2通りの意味があるようで、一つはUrban Dictionaryによると、下手に改造して〝ゴミ同然〟になった車や、安物のポンコツ車を指す。一方、Word Spyでは、車内のゴミを意味する。とくにバックシートに放置された清涼飲料の缶やペットボトル、ハンバーガーの包み紙、ポテトチップの袋、ティッシュの山…。そこで、日本語訳を考えると、前者は「ゴミ車(ぐるま)」で、後者は「車(しゃ)ゴミ」というのはどうだろうか?
 この「車ゴミ」が「フロアードローブ」と同様によく見られるようになったのは、車が家についで第2の生活空間になってきたからだ。このトレンドを示す新語がcarcooning で、発音は「カークーニング」。これはcarとcocoon(蚕などがマユを作って閉じこもる)の合成語。車内で仕事や食事をしたり、気ままに過ごしたりすることを意味し、プライバシーを保護してくれる車内に閉じこもった時の居心地のよさを表わす。そこで、つい持ち主のlife-style(生活様式)が出てしまい、モノが散らかるというわけだ。
 「散らかる」「散らかす」はlitter。名詞としても使い、「散らかったもの」を表す。自宅やマイカーの中では勝手だが、一歩公共の場に出たら、litterは「ポイ捨て」や「ゴミの不法投棄」を意味する。“Littering is a crime.”(ゴミ棄ては犯罪)となるから、くれぐれもご用心を。The Sankei Shimbun(September 30 2007)