2012年7月2日月曜日

obesity 体重計が怖い・・・


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 obesityは「肥満」。fat(脂肪)の蓄積過多による病的な体重増加の状態と定義される。カタカナ読みは「オゥビーシティ」。「肥満している」という形容詞はobese。簡単に言えばfat。これは日本語の「デブ」と同じで、侮辱的で人を傷つける差別言葉と見なされる。実際アメリカでは、肥満は国民的な問題。20歳以上の30%が肥満とされ、overweight(体重過多)を含めると65%に達する。5年後にはさらに全体で10%増加するという予測もあり、まさに“fat land”(「肥沃な土地」ならぬ「デブの国」)なのだ。
 obesityの語は17世紀に登場し、ラテン語のobedereに由来。ob-はawayを、edereはeatを意味し、原義は「食べまくる」こと。だから、obesityは個人のunhealthy diet(不健康な食生活)に起因し、それにphysical inactivity(運動不足)が拍車をかける、とするのが常識的。だが、これだけ肥満が増えると、個人の節制問題を追求しづらくなり、政府でさえobesityを“epidemic disease”(流行病)と表現。原因についても〝遺伝子説〟や〝ウィルス説〟まで登場し、議論が沸騰している。
 恐ろしいのは、肥満が大人の世界だけでなく、子供の世界にも急速に拡大していることだ。子供は親の生活習慣に従うから、当然の結果である。米国では20歳以下の糖尿病患者が推定17万人を超え、そのうち肥満に関係する2型糖尿病が増加傾向にあるなど、lifestyle diseases(生活習慣病)が低年齢層にも猛威を振るい始めている。
今から10、20年後にはどうなるのだろうか?米医学界には、“We are losing the war against obesity.”(われわれは肥満との戦いに敗れつつある)との悲観的な見方が広がり始めている。
だが、他の国々もアメリカを笑っているわけにはいかない。WHO(世界保健機関)は2001年にglobal(グローバル)とobesityを組み合わせたglobesityという言葉で、“global obesity epidemic”(世界的な肥満の流行)を警告した。カタカナ読みすれば「グロゥビーシティ」。日本語の定訳はないが、「地球的肥満現象」とか「ワールドワイド肥満」がふさわしい。WHOによると、1995年に世界全体の肥満は2億人だったが、2000年には3億人を超過。そのうち1億1500万人が生活習慣病を抱え、この結果、毎年約1700万人が死亡。2015年には3600万人が死亡すると予測されている。ヨーロッパ諸国はもちろん、ヘルシーな和食を誇る日本でも、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が問題になっている昨今だ。
スティーブン・フィリップスという人は、こう言った。“In the Middle Ages they had guillotines, stretch racks, whips and chains. Nowadays we have a much more effective torture device called the bathroom scale.”(中世には、ギロチンや拷問台、鞭・鎖があった。今ではもっと有効な責め道具がある―風呂場の体重計である)The Sankei Shimbun(October 7 2007 globesity)