2011年11月17日木曜日

investment porn


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

investmentは「投資」、pornはpornographyの略で「ポルノ」だが、直訳して「投資ポルノ」では何のことかわからない。だが、pornにはlurid or sensational material(けばい、扇情的な材料)という別の意味がある。そこで、investment pornは、投資を煽るような金儲けの成功談をいう。カタカナ読みは「インヴェストメント・ポーン」。
景気の底打ち(bottom out)がいよいよ本物になって、株式市場に活気が戻ってくると、よく聞く質問は、“What are you buying in this market?”で「あなたはこの相場で何を買うのか」、端的に言うと「この相場では何が〝買い〟?」。質問する側が目論んでいるのは、他人の尻馬に乗って儲けようというget-rich-quick scheme(てっとり早い金儲け法)。こうした連中が眼の色を変えて読むのがinvestment porn。株式に限らず、流行のFX、金投資、急成長の某国の投資信託など、儲かるのなら投資対象は何でもOK。
よく似た言葉にfinancial porn(ファイナンシャル・ポルノ)がある。1998年にアメリカの株式市場がバブル相場に盛り上がっていた時、ニューズウィークの編集者が造語。“Short-term focus by the media on a financial topic can create excitement that does little to help investors make smart long-term decisions.”(熱狂を作り出すが、投資家に賢明な長期的決断をさせるには程遠い金融の話題についてのメディアの短期的な焦点)と定義し、「多くの場合、むしろ決断能力を曇らせる」としている。つまり、「誇張やウソがある」というのがpornの本質である。
これと同様のpornの使い方をする新語に、eco-porn(エコ・ポルノ)がある。ecoはecological(環境保護的な)の省略形。企業が自社の環境政策を宣伝する場合、往々にしてeco-pornがはびこる。たとえば、このキャッチ、“For Us, Every Day Is Earth Day”(われわれにとって、毎日が〝地球の日〟)。使われているのが、製材、製紙の組合や土地開発業者などの広告となれば、“Really?”(ほんまかいな)ということになる。
さて、オックスフォード英語大辞典(OED)によると、pornographyの語源は1864年にさかのぼる。pornoは「売春婦」、graphyは「記述」を指し、売春用の品書きを意味した。そこから、性行為の描写を売り物にしたわいせつな読み物や絵画、さらに映像などを意味するようになった。
日本で、著書「チャタレイ夫人の恋人」がわいせつ文書として発禁処分にもなった英作家、D・H・ローレンスは、“Pornography is the attempt to insult sex, to do dirt on it.”(ポルノはセックスを侮辱し汚すものだ)と、真の芸術と一線を画すが、米ポルノ女優グロリア・レオナードは、こう語る。
“The difference between pornography and erotica is lighting.”(ポルノとエロチカの違いは、照明だけよ)The Sankei Shimbun (September 14 2009)