2011年11月15日火曜日

take a hike


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

hikeは-ingを付けてhikingとすると、日本語でも「ハイキング」。つまり、hikeはhikingの原形で、動詞・名詞。オックスフォード英語大辞典(OED)によると、語源は1809年にさかのぼり、walk vigorously(元気よく歩く)こと。タラタラ歩いていては、hikeにはならない。take a hikeはtake a walk(散歩する)と同様の言い方で、「ハイキングに出かける」。ちなみに、どちらも命令形で使うと「失せろ!」という意味になるので、要注意。 カタカナ読みは「テイカ・ハイク」。
ウォールストリート・ジャーナル(2009年9月21日付)は、“Out of a Job, Some Decide to Take a Hike”(職を失くして、ハイキングに出かける人がいる)と、最近のアメリカのoutdoor activity(屋外活動)の様子を紹介している。
だが、ここでいうhikingは、日本での日帰りハイキング(英語ではa day hike)とは違って、thru(or through)-hiking(スルーハイキング)のこと。つまり、長距離を何日もかけて端から端まで踏破するハイキングだ。その典型がAppalachian Trail(米東部のアパラチア山脈にそって南北に縦走する長距離自然歩道)を歩くもので、総延長は2175マイル(3500㌔)に達する。
ジャーナル紙によると、アパラチアン・トレイルを最南端のジョージア州から出発するハイカーは毎春1000人程度。だが、今年は1400人近くに上り、初夏にかけてさらに数百人が加わったという。その中で目立つのは、失業者。
“Hikers say they budget $1 a mile for food and the rare motel stay, making life on the trail cheaper than life in town.”(ハイカーたちは、食費を1マイル1ドルに抑え、ホテル宿泊もめったになく、都会にいるより自然歩道での生活は安上がり、という)。つまり、同じことを都会でやれば浮浪者とみなされるが、“If you do this on the trail, you’re a hiker.”(ハイキング・トレールでやる限り、あなたはハイカーである)。
さて、米国でthru-hikerのパイオニアとされるのが、ロシア移民女性のリリアン・エイリング。カルビン・ラツトラム著の“The New Way of the Wilderness”(荒野の新たな道、1958)によると、1927年夏、ニューヨークで働いていた27歳のリリアンはホームシックに陥り、ロシアへ帰る決心をする。しかし、旅費はなく、ロシアまでざっと1万2000マイルを極力歩こうと決意。シカゴ、ミネアポリスなど北部を歩いて、カナダのブリティッシュコロンビアに至る。そこからアラスカに入ってスワード半島に達し、最後に、シベリアへ向けてベーリング海峡を渡るために、エスキモーと舟の交渉をしているのが目撃されたという…。
“If you are seeking creative ideas, go out walking.”(創造的なアイデアを探すならば、表に出て歩け)と言われるだけに、職を離れたら自分探しの旅に、歩いて出るのも一考である。The Sankei Shimbun (October 5 2009)