2011年11月13日日曜日

charticle


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 articleは新聞などの「記事」。その頭にchart、つまり「図表」「チャート」を被せたのが、charticle。その言葉の通り、図表や絵・写真によってビジュアル化を優先した記事を指す。アメリカの新聞業界用語。カタカナ読みは「チャーティクル」。
 アメリカン・ジャーナリズム・レビュー(2008年10・11月号)の“Charticle Fever”(チャーティクル・フィーバー)と題する記事によると、“Charticles are combinations of text, images and graphics that take the place of a full article.”(チャーティクルとは、文とイメージとグラフィックの組み合わせで、文章ばかりの記事にとって代わるもの)と定義。インターネットの影響によって若者の新聞離れが進む中で、地方紙を中心に、18歳から35歳のネット世代の読者を開拓しようと、charticleを取り入れる新聞社が増加、新聞の〝異変〟を示す言葉として注目されている。
 米国で、絵や写真入りの新聞は古くから発行されているが、記事の理解を助けるためにグラフや図式を用いるようになったのは、1970年代。だが当時は、新聞社内でもこんな言葉はなかったという。その後、コンピューター・グラフィックスの進歩で情報のビジュアル化が容易になり、information graphics、またはinfographicsと呼ばれるようになる。これを積極的に取り入れ、カラー化で成功した新聞がUSA Today。それでも、charticleの語自体は、新聞社の編集局にとどまり、表に出ることはなかった。アメリカ英語のサイト、The Big Appleによると、1998年にフォーブス誌で使われたのがcharticleの語の初出という。
 だが、それから約10年、情報のビジュアル化は、どの分野でも本格化している。その利点は、“It’s clear at a glance.”(一目瞭然)。たとえば、Youtubeが人気を呼ぶのは、動画が“universal language”(普遍語)であって、見れば分るから。text(文章)も長い話は敬遠されがちで、blog(ブログ)より短いTwitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)が流行。情報の専門家は、今後の情報伝達は“shorter, tighter, quicker”(より短く、簡潔で迅速)になるのは避けられないという。だから、新聞もcharticleというわけだ。
 だが、ワシントン・ポスト(2009年11月1日付)は、“Keeping a Long Story”(長文の記事を続ける)と題して、長文の新聞記事は本当に時代遅れの“dinosaur”(恐竜)かと、何でもビジュアル化するトレンドを批判。事実、ハリーポッターはとても長い物語だが、子供たちは夢中で読む。出来事の詳細な叙述に対する読者の興味は、決して衰えていない、と分析する。そして、“The storytellers know that the story is the original killer app.”と主張。“killer app”はkiller application(決め手のソフト)というコンピューター用語。つまり、「新聞記者たちは、記事そのものが本来の決め手だと知っているのだ」。The Sankei Shimbun (November 23 2009)

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