2011年11月22日火曜日

bottom out


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

bottomは「底」だが、動詞としても使い、bottom outは最低レベルに達することをいう。20世紀半ばからは経済用語として、景気や相場が「底を打つ」という意味に使う。カタカナ読みは「ボトマウト」。アメリカン・ヘリテージ辞典によると、“To descend to the lowest point possible, after which only a rise may occur.”(最低まで落ちて、後は上がるだけ)と定義している。
経済開発協力機構(OECD)は2009年6月24日、“A severe U.S. recession will bottom out this year, but any recovery will be weak due to anemic markets and shrunken consumer wealth.”(米国の厳しい景気後退は年内に底を打つだろうが、市場は活力がなく、消費者の資産も縮小しているため、回復は弱い=ロイター通信)と予想した。
米国景気のカギを握るのが、バブル崩壊後低迷し続けるhousing market(住宅市場)。有力格付機関のフィッチ・レーティングズは2009年7月15日、“The long-awaited bottoming of the U.S. housing market may be in sight, but a recovery could take as long as 18 months.”(長く待ち望まれた米国の住宅市場の〝底打ち〟が実現間近となったようだ。しかし、回復までには18カ月の長期間を要するだろう=ロイター通信)と判断。本格的な景気回復に至らないまでも、最悪期を脱する兆しが見えてきたと指摘した。
また、2008年秋以来の金融危機を見事に予測した“Dr. Doom”(ドクター・ドゥーム)ことヌリエル・ルービニ・ニューヨーク大学教授の新たな〝ご託宣〟。ブルームバーグ(7月16日付)によると、ルービニ教授はニューヨークでの講演で、“We might be at the bottom or close to the bottom.”(今が底か、あるいはもうすぐ底だ)と述べ、“In many ways the worst is behind us in terms of economic and financial conditions.”(経済・金融の状況においては、多くの点で最悪を脱した)と述べた。
では、回復基調に転じるのは何月ごろか?
ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン氏は2009年6月9日、ロンドン大学で講演し、“The oh-my-God-the-world-is-ending phase of the economic downturn is over.”(「おお神様、世界は終わりだ」という経済下降の段階は過ぎ去った)と述べた上で、“The economy will probably emerge from the recession by September.”(経済はたぶん9月までに景気後退から抜け出すだろう)との予測を示した。
だが、2011年11月の時点から振り返って言えることは、OECDのエコノミストも、格付け会社も、預言者もノーベル賞経済学者もどこに眼をつけていたのか、とあらためて考えさせられるということである。今や世界経済は、二番底をぶち抜いて、果てしない不確実性の時代に突入したようだ。おそらく、1929年の大恐慌もこうして世界経済を混乱に陥れたのではないかと思う。
それでは、われわれの未来はどうなるか?
われわれはなおも底を探る以外にはない。第二次世界大戦で米軍の機甲軍団を指揮したジョージ・パットン将軍はこう述べている。“Success is how high you bounce when you hit bottom.”(成功は、あなたがどん底に達したとき、そこからどれだけ高く跳ね上がるかにかかっている)。諸君の健闘を祈って、Bottoms up!(乾杯)The Sankei Shimbun (August 3 2009)