Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
“I am alone.”といえば「私はひとりぼっち」という意味だが、aloneの語源はall+oneで「まったくひとり」。ここからlone(ひとりの)、lonely(孤独な)、lonesome(寂しい)などの形容詞が派生。さらに、20世紀の半ばからloneに「人」を表す連結形-erがついて、loner(孤独なタイプの人)が登場した。カタカナ読みは「ロウナー」。
アメリカン・ヘリテージ辞典は、lonerを“one who avoids the company of other people”(他の人との交わりを避ける人)と定義している。つまり、“one who prefers to be alone”(ひとりでいることを好む人)で“Leave me alone!”(ほっといてくれ)というわけ。lonerは、lone wolf(一匹オオカミ)やlonely hero(孤独なヒーロー)の代わりとしても用いられるが、最近のメディアでは、否定的なニュアンスで使うことが多い。
ニューヨーク・タイムズ(2010年1月8日付)は、“Murky Trail for ‘Loner’ in Attack on C.I.A.”(CIA攻撃、〝単独犯〟のかすむ足取り)と報じた。ここではあえて「単独犯」と訳す。というのは、昨年12月30日、アフガニスタン東部ホスト州にあるCIA(米中央情報局)の基地で1人の男による自爆テロが起こり、CIAの当局者ら8人が殺害された。その後の調べで、犯人はヨルダン人の医師で、CIAが雇って国際テロ組織アルカーイダに潜入させたdouble agent(二重スパイ)であることが判明。だが、男はlonerであるため、死後に手がかりが途絶えてしまい、自爆テロの動機など、もはや解明できないというわけだ。
また、昨年11月にテキサス州フォートフッド陸軍基地で起きた銃乱射事件の犯人である軍医も、アルカーイダとのつながりがあるとされるが、背後関係ははっきりせず、lonerと表現されている。このほか、殺人などの凶悪事件やインターネット犯罪などの単独犯も、人づきあいが悪い場合、“a quiet man who keeps to himself”(自分に閉じこもりがちな目立たない男)などと表現され、しばしばlonerとやり玉に挙げられる。
だが、こうした言葉の使い方に、合法的な社会生活を営む「孤独なタイプ」というべき“quiet loner”から反発が出ている。アメリカン・スペクテーター(2009年5月14日付)は、“A Defense of Quiet Loners”(おとなしい孤独なタイプの弁明)と題した記事で、煩わしい人づきあいを好まない、独身の若者や中高年男性に対して“Loners are freaks.”(孤独なタイプはおかしなヤツ)と考えるのは間違いだ、と強調している。
社会学者のディビッド・リースマンは1950年に“The Lonely Crowd”(邦題『孤独な群衆』)を出版し、豊かな工業化社会で疎外される人間の姿を描き出した。それからちょうど60年。情報化と高齢化が進む中で、若者も年寄りもますます疎外感を強めて孤独になりつつあると思う。lonerと呼ばれることは、決して他人事ではない。The Sankei Shimbun (February 15 2010)
PS: In real life we are born alone and die alone. Loner is our essential form of life. Don't be afraid of being loner. Being loner is better than being with bad companions. Buddha says in the Sutta Nipata,“One should walk alone like a rhinoceros horn." The solitude is a strong will.
0 件のコメント:
コメントを投稿