2011年11月16日水曜日

shot


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

shotは日本語でも「ナイスショット」などと、そのまま使う。テニスや卓球では「打球」、銃砲やミサイルは「発射」。さらに、一杯の強い酒もshotで、take a shot of whiskey(ウイスキーを一杯やる)などといい、この用法は古く17世紀にさかのぼる。だが、ここではhypodermic injection(皮下注射)を指す。
世界で今最も関心が高まっているのがflu shot(インフルエンザの予防注射)。ワシントン・ポスト(2009年9月10日付)は、“Single Swine-Flu Vaccine Shot Effective, Study Finds”(豚インフルのワクチン接種は一回で効果、研究で判明)と報じた。米国のメディアは、新型インフル(H1N1)のことを今でもswine-fluと呼ぶ。“Preliminary data from a study involving 240 adults in Australia found that a single standard dose of vaccine produced an immune response within 21 days that appeared easily adequate to protect against the new virus.”(オーストラリアで240人の成人で実験した予備データによると、一回の標準ワクチンの接種で、新型ウイルスに対して容易に抵抗できると見られる免疫反応が、3週間以内に生まれた)としている。
一方、タイム誌(2009年9月14日号)は、“A Shot at Cancer”(がんに予防注射)という見出しで、米国でのがん治療の最前線をレポートした。この“New Therapy”(新しい療法)には、がんに対するワクチンの開発が前提となる。その接種よって、“to educate a body to, in essence, recognize and round up tumor cells the same way it polices viruses and bacteria.”(ウイルスやバクテリアを取り締まるのと同じように、本質的に、腫瘍を認知して捕捉するよう、体に教え込む)という。
その原理について、“The immune system may be fooled by the homegrown nature of cancer, recognizing the cells as part of the body.”(われわれの免疫システムは、がんの自生する性質によってバカになっており、がんの細胞を体の一部と認めてしまう)。そこで、ワクチンによって免疫システムを刺激し、がんを見つけ出すように仕向けて、攻撃させようという。うまくいくかどうか。
さて、a shot in the armといえば、「腕に一発」という俗語表現。ここで注射するのは刺激剤で、“Swine Flu Concerns Give Biotechs Shot in the Arm”(新型インフル懸念がバイオテク産業に刺激=サンディエゴ・ビジネス・ジャーナル)などと一般にも使う。だが、注射するのがnarcotic(麻薬)で、“All I need is a shot in the arm.”(腕に一発お願いよ)などとせがむようになれば、これはもう立派なjunky(drug addict=麻薬中毒患者)。待っているのは、ジョン・レノンとプラスティック・オノ・バンドの曲でおなじみ、“Cold Turkey”(冷たい七面鳥=冷汗が流れて、鳥肌の立つような禁断症状)である。The Sankei Shimbun (September 28 2009)