2012年6月11日月曜日

Donkey vs. Elephant


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 Donkeyは「ロバ」で、民主党(Democratic party)のマスコット。一方、Elephantは「ゾウ」で、共和党(Republican party)のシンボルマーク。ロバ対(vs.=versus)ゾウが激突するのは、民主・共和2大政党が政権を争う大統領選挙。4年ごとで、オリンピック開催年に行われる。選挙戦は1月のアイオワ州の党員集会を皮切りに各党の候補者選びがスタート、8月下旬から9月にかけて各党の全国大会で候補者を決定、11月の本選挙で米国の大統領が選出される。
 民主党のDonkeyは、元はassと言った。donkeyの語源については、18世紀後半の俗語dun(brown=茶色)にmonkey(サル)の-keyが付いて「茶色のヤツ」になったとの説がある。assは古英語のロバ。1828年の大統領選挙で、第7代大統領になるアンドリュー・ジャクソン(民主党)が、名前のJacksonにassを絡めて“jackass”(「雄のロバ」という意味)と呼ばれたのを逆手に取り、キャンペーンにassを使ったのが始まりという。
 ロバとゾウが対立する構図は、1870年代に遡る。コラムニストのウィリアム・サファイア氏の考証によると、漫画家のトーマス・ナスト(1840~1902)がハーパーズ・ウィークリー誌の1874年11月7日号に、ライオンの皮を被ったassが森の動物を脅かすマンガを描いたのが始まりという。当時、南北戦争で北軍の最高司令官として活躍したグラント将軍(共和党)が第18代の大統領(在職1869~77)を務めていたが、民主党を支持する新聞は、グラントの3選阻止に向けてCaesarism(専制主義)と批判した。ナストは、その新聞のやり方をイソップ童話の“an ass in a lion’s skin”にたとえて、こけ脅しだと風刺。「民主党はロバ」と大衆に印象付けることになったという。以後、ロバは民主党の事実上のシンボルになった。もっとも、assは、「バカ」や「間抜け」など悪い意味合いで使われることが多いため、普通にロバを表わすdonkeyの呼び名に変わった。
 一方、共和党のシンボルマークのゾウは、実はナストの諷刺画の中で、ロバに脅されて逃げ回る森の動物の1つとして登場。その説明では、根も葉もない〝専制主義〟への加担に恐れをなして逃げ回るRepublican vote(共和党支持の有権者)を表していた。だが、その後、ゾウは有権者から党自体と見なされるようになった。
 さて、共和党員はDemocratic Donkeyを元のassとして「頑固」で「愚か」と見ているが、民主党員は「素朴」で「質素」、「賢く」て「勇気がある」と考えている。一方、民主党員はRepublican Elephantを「バカ」で「尊大」で「保守的」と見ているが、共和党員は「威厳に満ち」、「強く」て「賢明」と考えているそうだ。
 いずれにしても、自分は賢明で正しく、相手は愚かで間違っている、というのが民主・共和2大政党の共通の主張であるようだ。The Sankei Shimbun(January 6 2008)「グローバル・English」はこちらへ