2012年6月22日金曜日

freebie

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


freeは「自由な」という形容詞で、“America is a free country.”(アメリカは自由の国)などという。だが、もう1つ「タダの」「無料の」という意味がある。freebieのfreeはこちらで、something given without charge or cost(タダでもらえるもの)。カタカナ読みは「フリービィ」。
“American Offers Freebie after 2 Paid Flights”(アメリカン航空は2度有料で乗ればタダのサービスを提供)という見出しのネットニュースが出たのは2007年11月。中身を読むと、Mileage serviceを受ける会員が対象で、米国内の所定のコースを2往復した場合、2万5000 bonus miles(ボーナス・マイル)を提供する、という秋の旅行シーズンに向けた販売促進策だった。2万5000マイルは4万㌔強。なんと、地球一周分のポイントが加算される。2倍の4往復すると、「ヨーロッパや日本までタダで旅行できる」という謳い文句だ。
こんな高価なfreebieをもらうにはかなりの元手が必要だが、銀行に口座を開いたらくれる電卓などの景品、メーカーが配るシャンプーや化粧品のサンプル、また、スーパーマーケットでのピザなどの試食は、ほとんど元手要らずのfreebie。
オックスフォード英語辞書(OED)によると、freebieは1942年に登場、1954年出版のジャズミュージシャン、ルイ・アームストロングの自伝「サッチモ」に、“That meal was a freebie and didn’t cost me anything.”(その食事はフリービィで、タダだった)と説明付きで記載。だが、語源は不明。一説によると、-bieは蜂のbeeで、これも俗語表現で“put the bee on someone for something”(誰かから何かをせしめる)に由来するとか。つまり、freebieは「タダでせしめたもの」という解釈だ。
ところで、インターネット上では米国のfreebie専門サイトが人気。たとえば、“Free Products Samples”(タダでもらえる製品サンプル)のコーナーでは、メーカー提供の試供品一覧が載っている。また、desktop freebie(PCのデスクトップ用フリービィ)として無料のスクリーンセーバーや壁紙、Eカードや MP3、free software(無料ソフト)などのダウンロードまで、ネットで手に入るfreebieのリストが掲げられ人気を博している。
実際、“Everything on the Internet is free.”(ネット上にあるものはすべてタダ)とつい考えたくなる。freebie 評論家のリー・シーツ氏は“Everything on the Net is there as a result of someone’s efforts.”(ネット上のすべてのものは、誰かの努力の結果としてそこにある)と釘を刺す。
さて、2008年8月3日の深夜、ミシシッピ州ルールビルで自動車事故があった。乗っていたのは、アカデミー賞受賞俳優のモーガン・フリーマン氏。横転した乗用車から救出されたところを、ヤジ馬がケータイのカメラを向けた。フリーマン氏はすかさず言ったそうだ。“No freebies, no freebies.” (タダ撮りはあかん)The Sankei Shimbun (November 11 2007)