“It is what it is.”は、簡単に言えば、フランス語の決まり文句の “C'est la vie.”に相当する。「それが人生というもんだ」(That is life.) が原義で、「それが現実だ」(That’s just the way things are, like it or not.)とか「仕方がない」(There is nothing that can be done about it.)とか、大体そんな意味で使われる文句と同じである。
Urban Dictionary にはこう出ている。
A) A phrase that seems to simply state the obvious but actually implies helplessness.(単に明らかな事実を述べてるようで、実際は無力さを意味している)
B) A phrase that seems to simply state the obvious but actually means "it will be what it is," as in "it ain't gonna change, so deal with it or don’t.”(単に明らかな事実を述べているようで、実際には「こうなってしまう」、つまり「何かしてもしなくても、そいつは変えられない」と言っている)
J: I can't believe the price of gas!(ガソリンの値段、信じられない!)
B: It is what it is.(仕方ないさ)
米国人は一般的に、optimistic(楽天的)で、困難に立ち向かっていくガッツを尊ぶ。「仕方がない」などとは滅多に口にしない。表現そのものは昔からあるが、米国人がこんなあきらめの言葉を口にするようになったのは、21世紀になってから、おそらく2001年の9/11同時多発テロ以降ではないか、と思う。
最近、随所で “It is what it is.”を見聞するようになったのは、American dream を聞かなくなったのと比例するようだ。1%の人間が富の半分を独占し、われわれ99%は貧乏人との認識が高まるにつれて、pesimistic(悲観的)な人が増えたのか、あるいは、もうどうでもいいや、という無気力が支配し始めたのか?
ところで、2007年にバグダッドに駐留した米軍の司令官の一人は、兵士らの間に“It is what it is.”が蔓延しているのに気付いたという。たとえば、“The Iraqi Army unit you’re partnering with can’t show up to an operation on time, but it is what it is.”(パートナーのイラク軍の連中は、作戦行動に間に合うように来やがらねえが、まあ仕方ねえか)など、投げやりな言い方ばかりで、これでは軍隊の規律は保てない、と感じたそうだ。“Why “It Is What It Is” is a Stupid Phrase”(「仕方がない」とはバカ言うんじゃねえ)と怒り心頭に発している。
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