2011年10月5日水曜日

man up


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

manは「男」を指す名詞だが、ここでは動詞として使う。upは動詞の後の副詞で、「上向きに」。そこで、man upは、文字通りでは「男を上向きにする」だが、慣用的に“be a man about it”(一人前の男としてそれに向かう)、つまり「男らしくする」という意味になる。“Man up!”は「男らしくしろ!」。カタカナ読みは「ミャナップ」。
共和党が民主党に大勝した米中間選挙では、共和党の〝女性闘士〟が男性側に“Man up!”を連発して注目を集めた。
CNNは2010年10月18日に“Former Alaska Governor Sarah Palin had a message for the GOP Monday ―‘man up’ and support the Tea Party.”(サラ・ペイリン前アラスカ州知事は月曜日、「男らしく、ティー・パーティーを支援して」と共和党へメッセージした)と報じた。GOPは“Grand Old Party”の略で、共和党の別称。Tea Partyは、1773年のボストン茶会にちなんだ増税反対を標榜する保守派の草の根運動で、今回の選挙でオバマ政権批判の旋風を巻き起こした。ペイリン氏はティー・パーティーで演説、共和党のお歴々を“They’ re too chicken to support the Tea Party candidates.”(彼らは臆病すぎて、ティー・パーティーの候補者を支援できないのよ)と挑発した。
ネバダ州の上院議員選では、民主党の上院院内総務を務めるハリー・リード議員に、共和党のシャロン・アングル候補が挑んだ。エンジェル候補は立会討論会で、“Man up, Harry Reid. You need to understand we have a problem with Social Security.”(本気でやって、ハリー・リード。社会保障制度に問題があることをあなたは理解する必要がある)とかみついた(10月15日付のABCニュース)。彼女は、「小さな政府」を目指す保守派らしく、社会保障制度の民営化を主張している。ここでのman upは「男らしく」よりさらに一歩踏み込んで“suck it up”(本気を出す)に近いように思える。
また、米国では近ごろ“Man Up Campaign”という運動が進められている。“Man Up is a global campaign to activate youth to stop violence against women and girls.”(マン・アップは、女性たちに暴力をふるわないよう、若者に促がす地球規模のキャンペーン)というもの。女性に対して暴力をふるうのはunmanly(男らしくない)行為と考えるならば、ここでのman upは「男として責任を持て」とでも訳せるだろう。
ところで、manly(男らしい)など性別を強調する言葉は、gender free(性差別否定)のトレンドの中でpolitically incorrect(政治的に正当でない)とされ、公の場から姿を消しつつある。それにもかかわらず、保守派の女性たちは今なおmanlyな男を求めているのだ。“Man up!”などとハッパを掛けられると、筆者のように気の弱い男はman downして、引いてしまいそうである。The Sankei Shimbun (November 8 2010)
Man up owes its early popularization to another American sport: football, where it originally had a more technical meaning relating to man-to-man pass defense.....In recent years, man up and cowboy up have been joined by other “X up” macho-isms. Some evoke what might be politely termed testicular fortitude, like sack up and nut up, dated by the slang lexicographer Grant Barrett to 1994 and 1999, respectively. Last year’s movie “Zombieland” even showcased the provocative tagline “Nut up or shut up.” (On Language By BEN ZIMMER The New York Times: September 3, 2010) 「グローバル・English」はこちらへ