2011年10月27日木曜日

American Century


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 American Centuryは「アメリカの世紀」。20世紀をさす言葉として使われる。“for Americans”(アメリカ人にとっては)という但し書きが必要だが、アメリカ人の大きな自信(または、うぬぼれ)を示す言葉である。カタカナ読みは「アメリカン・センテュリー」。
 この言葉を最初に使ったのは、タイム誌を創刊したヘンリー・ルース(1898-1967)。1941年、アメリカが第2次世界大戦に参戦する直前に、姉妹誌ライフの社説で、中立の立場をとってきた米政府に対し、民主主義を世界に広めるため、孤立主義を棄てるよう促した。その中で、“to create the first great American Century”(最初の偉大なアメリカの世紀を創りだすために)と呼びかけた。
 第2次大戦で戦勝国となったアメリカは、戦後、西側自由主義陣営の盟主として、東側社会主義陣営のソ連との間で冷戦を展開したが、ソ連の崩壊とともに“the sole superpower”(ただ1つの超大国)として世界に君臨することになった―というのが、アメリカ人の自信を支える歴史観といえる。
 タイム誌の2010年3月22日号は、“10 Ideas for the Next 10 Years”(今後10年の10の見通し)という記事で、その第1に、“The Next American Century”(次のアメリカの世紀)を掲げている。その結論として、“In fact, the Americanization of the world will characterize the foreseeable future far more than the past.”(事実、今後予測できる未来には、かつて以上に世界のアメリカ化が進むだろう)という。
 Americanizationの元の動詞はAmericanize(アメリカ化する)。この言葉は、日本の戦後を特徴づけている。アメリカの核の傘によってもたらされた“Pax Americana”(アメリカ支配による平和)の下で、戦後復興、さらに高度経済成長を実現して、今の繁栄を築きあげた。その目標は、一言でいえばAmericanizeすることだった。
 現在進んでいるglobalization(グローバル化)は、世界的な規模に拡大するAmericanizationであり、さまざまな摩擦や抵抗があったとしても、“The rest of the world is becoming more like the U.S.”(残りの世界がよりアメリカのようになっていく)という潮流である。そのツールであるインターネット1つをとっても、アメリカで生まれたものであり、アメリカが世界の最先端を行く。
 もっとも、アメリカは9・11米中枢同時テロ以降、イラク、アフガニスタンで戦争を引き起こし、またウォールストリートに端を発する金融危機で世界を混乱に陥れる―などロクなことをしない。「いい加減にしろ」と怒鳴りつけたい気がするが、かといって、アメリカが衰退し、その影響力がなくなるとは考えられない。“Don’t believe the prophets of doom.”(アメリカの破滅を予言する者を信じてはならない)とのご託宣である。
 それだけに、英語を勉強しなくてもよい時代がやってくることは、当面ないようだ。The Sankei Shimbun (April 5 2010)