2011年10月13日木曜日

veteran


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 veteranは日本語でも「ヴェテラン」というが、その場合は“a person who is long experienced in an activity”(ある種の活動を長年経験した人)で、さまざまな分野での「熟練者」を指す。だが、アメリカでは、“a person who has served in the armed forces”(軍隊に務めた人)を指すことが多い。つまり、military veteran(兵役経験者)。日本では「退役軍人」などの訳語があてられる。
 NPR(米公共ラジオ)は最近、“The Impact of War”(戦争の衝撃)というシリーズで“America’s New Veterans: Getting Help Amid Hurdles”(アメリカの新たな兵役経験者たち、さまざまな障害の中で援助を求める=5月10日付)などと現状を報じた。Veterans Day(退役軍人の日=11月11日)といえば、第1次世界大戦の戦勝記念につながるが、ここでいうNew Veteransとは、2001年の9・11中枢同時テロ以降のアフガニスタン、イラク戦争で戦った人々。彼らの中でDepartment of Veterans Affairs(退役軍人省=略称はVA)に対してveteran’s benefits(兵役経験者が受け取る給付金、補償)を求める人が急増しているという。
 とくに問題になっているのは、service-related disabilities(兵役による障害)で、戦闘で手足を失ったり大ケガをしたり、さらにPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされ、除隊後、職に付けない人が増えていることだ。
 disability benefits(障害者給付金)に対する請求は膨大な数で、“The number of outstanding claims at the VA for service-related disabilities hovers around 500,000.”(兵役関連の障害に対する給付金請求は際立っており、その数は約50万件に及ぶ=5月11日付)。審査が追いつかず、40%近くが決定までに4カ月以上待たされるという。しかも、申請は増え続けており、今後4、5年間で100万人に上ると見られる。
 米国にとってveterans affairs(兵役経験者の諸問題)がいかに深刻であるか?
シンセキ退役軍人長官は“Veterans are a disproportionate share of the nation’s homeless, jobless, mental health depressed patients, substance abusers, suicides.”(兵役経験者は、米国のホームレス、失業者、精神障害者、アルコール中毒や麻薬などの乱用者、自殺者の中で不釣り合いなほど大きな割合を占める)と述べている。
 米国は第2次大戦後も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中南米・中近東・アフリカ諸国への派兵、さらに近年の湾岸戦争、アフガニスタン、イラク戦争と、世界のどこかで戦争を繰り広げて来た。
 ところが、国のために戦いながら、今晩寝るところさえないhomeless veteranの数は10万人を超える、と退役軍人省は推定している。さらに150万人のveteransが貧しい暮らしをしており、いつホームレスになるか分からない状態にあるという。軍事大国アメリカの負の遺産である。The Sankei Shimbun (May 31 2010)