2012年11月8日木曜日

leak A small leak can sink a great ship!

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 leakは「漏れる」「漏らす」、または名詞で「漏洩」。カタカナ読みは「リーク」。ここでは、漏れるのは情報でnews leak(ニュース漏洩)。新聞記者からすればscoop(すっぱ抜き)となるが、抜かれた側では、「漏らしたのは誰だ」と大騒ぎになる。
 イラク戦争後、ブッシュ政権を揺るがしたのが、“Plame affair”(プレイム事件)。またの名を“CIA leak case”(CIA工作員実名漏洩事件)。ブッシュ政権は2003年3月19日、大量破壊兵器の存在を理由にイラクに侵攻したが、結局大量破壊兵器は発見されなかった。事前調査を担当したジョセフ・ウィルソン元駐ガボン大使は、同年7月6日付のニューヨーク・タイムズに寄稿、イラクの核開発に関する報告が歪曲されたと世論に訴えた。ホワイトハウスの面子は丸潰れ。その後、7月14日に政治評論家のロバート・ノバック氏が書いたコラムに、ウィルソン氏の妻バレリー・プレイムさんがCIA(中央情報局)の工作員であり、その縁故でウィルソン氏は調査を担当したと暴露された。これは情報部員の身分を保護する法律に違反する。情報提供者としてアーミテージ前国務副長官、大統領のカール・ローブ次席補佐官、ルイス・リビー副大統領首席補佐官らブッシュ政権高官の名前が浮上。特別検察官が置かれて捜査の結果、2007年3月にリビー氏が偽証罪などで起訴され、罰金25万㌦と禁固2年6カ月の実刑判決を受けた。
 ところで、leakする人はsecret source(秘密の情報源)。取材源の秘匿はジャーナリストの基本的モラルであり、それが表面に現れることはまれ。その最大の例外が、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件(1972年)で、ワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード記者に情報を提供した“Deep Throat”。30年以上に渡って身元が秘匿されが、事件当時FBI(連邦捜査局)の副長官だったマーク・フェルト氏が2005年5月に、“I’m the guy they used to call Deep Throat.”と名乗り出た。世紀のスクープ記事の情報源が明らかになり、世間は再び驚かされた。
 だが、leakが不注意による場合もある。第二次大戦中の「メイ事件」は、米国では悪名高い。1943年、米議会下院の軍事委員会メンバーのアンドリュー・メイ議員は、太平洋艦隊を視察した後、「日本軍の対潜用爆雷は非常に浅いところで爆発するので、米海軍の潜水艦は攻撃を免れている」と記者会見で発言。通信各社がこれを打電し、多くの新聞がニュースとして報じた。日本軍が早速、起爆深度を変更したのは言うまでもない。米潜水艦部隊の司令官、チャールズ・ロックウッド海軍中将は、その結果、潜水艦10隻と乗員800人が犠牲になったと推定。当時のルーズベルト政権は、メイ議員の暴露にカンカンになった。
“A small leak can sink a great ship.”(小さなleakが大船を沈める)と言ったのは、建国の父、ベンジャミン・フランクリン。まさに至言である。The Saneki Simbun(October 15 2006)