2012年11月17日土曜日

fuck Most men are only interested in fucking you!

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 fuckは、カタカナ読みは「ファック」。おそらく500年くらいに渡って、公けに禁句とされた猥褻語である。本来の意味は「性交」で、名詞・動詞・形容詞(fucking)、間投詞にも使う。
米連邦最高裁判所がThe First and Fourteenth Amendments(憲法修正第1・14条=言論・出版の自由と公民的権利)の下に使用を〝解禁〟したのが1971年。有力新聞・雑誌など〝お堅い〟出版物の中には今なお、“f***”、“f-word”、“f-bomb”などと遠慮がちに記しているところもあるが、解禁の流れは止められない。映画やテレビ、さらに日常会話で、これほど多様な意味を込めて頻繁に使われる言葉はほかにない。
 アメリカン・ヘリテージ辞書によると、最初に使用されたのは西暦1500年より前。ラテン語と英語を混合した詩の中に見えるが、すでに当時から猥褻語として直接表記するのが憚られ、アルファベットを置き換えて暗号化して用いている。こうした表記法は最近まで続き、ヘミングウェイが「誰がために鐘は鳴る」(1940年)の第35章でfをmに置き換え、“muck”として使用。D.H.ロレンスは「チャタレイ夫人の恋人」(1928年)の中でこの語を連発したために猥褻文学の烙印を押され、英米両国で30年以上も発禁処分にされた。
 現在では、この言葉は性交以外の意味で使うことが多い。“I was fucked by ~.”(~にはめられた)。“I guess I am fucked.”(困ったことになった)。“He fucks up everything.”(めちゃくちゃにしやがる)。“Fuck off.”(うせろ)。“Fuck yourself.”(ちくしょう)などは、比較的意味が明瞭な使い方だ。怒りの感情や罵りを表す場合が多いが、喜怒哀楽のすべての感情表現に用いられる。俳優のマット・デイモンとベン・アフレックが脚本を書き、アカデミー脚本賞に輝いた映画「グッドウィル・ハンティング」(1997年)では、若者たちの会話の中で90回以上も登場している。
 fuckを口にするのは、大統領といえども例外ではない。イラク戦争1年前の2002年3月、ブッシュ大統領は上院議員3人に自分の考えを説明するなかで、“Fuck Saddam, We’re taking him out.”と述べたと、タイム誌が“F***”と伏せ字で伝えた。このフレーズは、改めて大統領の単純な性格を浮き彫りにするとともに、当時のサダム・フセイン・イラク大統領に対する深い敵意を示すものだ。
 また2004年6月、チェイニー副大統領が上院でパトリック・リーヒー議員(民主党)と議論した際には、相手を“Fuck yourself.”と罵倒した。
こうした罵倒がすぐに口を突いて出るのは、“Most men are the same. They are only interested in fucking you and they don’t care whether you’re happy or sad.”(たいていの男は同じよ。あなたと〝する〟ことばかり考えているのよ。あなたの気持ちなんて関係ないのよ)。女優のキャメロン・ディアスが言うとおりかもしれない。The Sankei Shimbun(July 30 2006)