2012年11月21日水曜日

wiretap Walls have ears!

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 wiretapはwire(線)にtapする(取り付ける)という意味。カタカナ読みは「ワイアータップ」。いったい何を取り付けるのかと言えば、concealed listening or recording device(隠れて聴取し、記録する機器)。つまりwiretapは「盗聴」を意味する。古い英語ではeavesdrop。本来の意味は、eaves(軒)からdrop(雨のしずく)が垂れるような所に立って、盗み聞きすること。現代の盗み聞きはtelephone tap(電話盗聴)が中心だが、これだけケータイが増えるとwirelessも無視できない。そこで、役所の正式の言い方はintercept(通信傍受)。
 2001年の9.11中枢同時テロ以降、ブッシュ政権は電話会社を通じて、国内外の電話の盗聴を続けてきた。国際テロ組織アルカーイダの脅威に対し、情報収集で先手を打つためだ。
 ニューヨーク・タイムズは2005年末に、NSA(国家安全保障局)が電話を勝手に盗聴していると、すっぱ抜いた。NSAはCIA(中央情報局)と並んで諜報活動を行う部局だが、NSAといえども盗聴するためには、裁判所の令状が必要。だが、大統領はwartime(戦時)との認識に立って、秘密裏にwarrantless surveillance(令状なしの監視活動)を承認した。
 中枢同時テロの翌月、米議会でPatriot Act(愛国者法)が成立。ブッシュ政権はDepartment of Homeland Security(国土安全保障省)を新設し、その下に諜報機関や捜査当局を統合、テロとの戦いのため、「国の安全は個人のプライバシーに優先する」と主張した。これに対し、無断盗聴は人権侵害であり憲法違反とする意見が、野党民主党だけでなく与党共和党内にも噴出。米自由人権協会(ACLU)などが2006年初めから、NSAの活動停止を求め連邦裁判所に提訴した。訴訟の対象は後に、盗聴に協力した電話会社にまで拡大された。
 米議会は、2008年に入って無断盗聴の〝既成事実〟を容認するとともに、〝お上〟の命令で協力してきた電話会社へ免責を与える条項を盛り込んだForeign Intelligence Surveillance Act(外国情報監視法)の改正案を提出。そして、7月9日には、“Senate Approves Bill to Broaden Wiretap Powers”(上院が米政府の盗聴力増強の法案に同意=ニューヨーク・タイムズ)。法案は翌10日、ブッシュ大統領が署名し成立した。この法律には、無制限に盗聴できる権限を政府に与えるというおまけが付いている。
“Our sovereignty may be dependent on our ability to eavesdrop on transmissions between our enemies on the outside and those on the inside with sympathies for them.”(われわれの主権は、外国の敵と彼らに同調する国内の敵との通信を盗聴するわれわれの能力にかかっている)と言ったのは、誰だかご存知であろうか?ブッシュ大統領の宿敵であり、2006年12月30日に絞首刑にされたサダム・フセイン元イラク大統領である。The Sankei Shimbun(July 16 2006)

PS:米国内外の電話やメールの盗聴は、オバマ政権に入ってからも継続されている。Walls have ears(壁に耳あり)ですよ。