2012年3月25日日曜日

exoskeleton


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 この単語の後ろのskeletonは「骸骨」あるいは「骨格」。そして、前にあるexo-は「外部」「外側」を意味する。「外骨格」と訳される生物学の専門用語。人間の骨が体の内部にある「内骨格」であるのに対して、外骨格はカブトムシやカニなど節足動物に特徴的な体の外側に発達した骨格のこと。カタカナ読みは「エクソスケルトン」。
 この単語をよく知っているのは、大人よりもむしろ子供たち。“powered exoskeleton”(強化外骨格)は、あこがれのマトなのだ。これを装着すれば、弾丸や猛火も何のその、百万馬力の怪力が出せる―という、日本のSFアニメでは毎度おなじみの〝パワードスーツ〟。別の英語では、robotic suit(ロボット・スーツ)ともいう。
 “Robotic suit could usher in super soldier era”(スーパー兵士の時代を告げるロボット・スーツ)とのAPの記事(2008年5月15日付)は、パワードスーツがいよいよ実用化段階に入るという内容。ロボット技術のSarcos社が米軍との契約で開発したのが、アルミ製で電子回路が組み込まれた重さ約68㌔のexoskeleton。人間の筋力を20倍にまで高めるという。“The suit works by sensing every movement the wearer makes and almost instantly amplifying it.”(そのスーツは、来ている人のすべての動きを感知して、ほとんど瞬時に力を増強する)。Sarcos社は、この点の技術的な壁をクリアしたという。着用すれば、まさに“Iron Man”(鉄人)に変身できるわけ。
 米軍の“Future Combat Systems”(未来の戦闘システム)の開発プロジェクトの1つに、“Future Force Warrior”(未来戦士)計画がある。上記のパワードスーツも、その一環として研究開発が進められている。だが、“The power issue is the No.1 challenge standing in the way of getting this thing in the field.”(これを戦場に送り出す上で立ちふさがる第1の課題は〝パワー〟の問題)。電力の消費量が大きいだけに、供給源をどうするかが残る課題だ。
 “powered exoskeleton”の将来性は大きい。軍事利用だけでなく、医療分野、とくに脳卒中などで身体の麻痺した患者のリハビリ用や、身体障害者のサポート用、介護の現場で働く人々のための補助用“wearable robot”(着用可能ロボット)として広く活用が期待されている。
 フィクションの世界では、アメリカのSF作家、E・E・スミスが1937年から始めたレンズマン・シリーズに“power armor”(パワーアーマー)として登場。ロバート・A・ハインラインが1959年に刊行した“Starship Troopers”(宇宙の戦士)で一躍脚光を浴び、その後は世界中のSF小説や漫画、アニメで〝実用化〟された。“Everybody likes the idea of being a superhero.”(誰しもスーパーヒーローになってみたい)。exoskeletonが、そいつを可能にするのだ。The Sankei Shimbun(Jun 8 2008)