2011年12月11日日曜日

job security


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 jobは「仕事」で、security は「安全」または「安定確保」。job securityは、「仕事の確保」つまり“Keep your job.”(仕事を確保しろ)という意味。カタカナ読みは「ジョブ・セキュリティー」。
 2008年9月の金融危機以降の雇用情勢は生易しいものではない。AP通信(2009年1月26日付)は、“Job-killing Recession Racks Up More Layoff Victims”(〝仕事を抹殺する〟景気後退で、解雇の犠牲者が続出)と報じた。経営危機に見舞われたウォール街の大銀行をはじめ、大企業が相次いでlayoffを発表。エコノミストは今年200万人以上が職を失うと予測するだけに、“The recession is killing jobs.”(景気後退が仕事を殺す)というわけ。“The unemployment rate, now at a 17-year high of 7.6 percent, could hit 10 percent or higher later this year or early next year.”(1月時点で、17年ぶりに7.6%の高水準にある失業率は、今年末か来年初めに10%に上るだろう)という。(注:米国の失業率は2009年10月に10.1%に達し、その後2010年10月まで9%台の後半に高止まり。2011年11月になって8.6%まで回復した)
 自由経済では、景気がよいと、企業は利益を上げて投資を増やす。雇用は拡大し、仕事は増え、job securityは高まる。逆に、景気が悪くなると、企業はコスト削減のため従業員を解雇。仕事は減り、今度はjob insecurity(就業の不安定)が高まる。米国は企業利益優先の傾向が年々大きくなっており、業績低迷によるlayoffも頻繁になっている。とくに、昨今はblue-collar(ブルーカラー)だけでなく、white-collar(ホワイトカラー)も容赦なく解雇される。ウォールストリート・ジャーナル(同1月26日付)は、元バンク・オブ・アメリカ副社長の1人がブログで、“Nowadays, an M.B.A. Doesn’t Equal Job Security”(今日では、MBA=経営学修士の資格を持っていても仕事を確保できない)と告白していた。
 ところが、layoffを言い渡されるのは常に弱い立場にある従業員で、経営危機を招いた経営陣は〝お手盛り〟で多額の報酬を得ているという例が枚挙に暇がない。
 AP通信(2009年1月29日付)は、“Obama Calls $18B in Wall St. Bonuses ‘Shameful’”(オバマ大統領は、ウォール街の180億㌦のボーナスを〝恥ずべきこと〟と呼ぶ)と報じた。経営破たんした上に公的資金の注入を受けることになった金融機関の役員報酬が昨年、総額で180億㌦以上に上ることを受けて、オバマ氏は“the height of irresponsibility for employees”(従業員に対する無責任の極み)と批判した。また、政府の救済を求めているビッグ3をはじめとする企業トップの報酬も、危機が露見する以前の2007年には、800万~2100万㌦の高額に上る。バイデン副大統領ならずとも、“I’d like to throw these guys in the brig.”(こいつらを留置所にぶち込んでやりたい)と言いたくなるだろう。“We don’t need you anymore.”(わが社は君をこれ以上必要としない)と言い渡されるべきは、どちらか?従業員か、経営陣か?
The Sankei Shimbun (February 16 2009)
PS: Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)が2011年9月に勃発した原因はここにあるのだ。