Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
formulaはカタカナ読みで「フォーミュラ」。数学や化学では「公式」。Formula 1といえば、「F1」の自動車レースのこと。ところが、この前にinfant(乳幼児)が付いてinfant formulaとなると、アメリカ英語では液状のベビーフードを指す。今日では主に、溶かして使う「粉ミルク」のこと。
ニューヨーク・タイムズ(2008年11月26日付)は、“Melamine Traces Found in U.S. Infant Formula”(米国の粉ミルクにメラミンの痕跡発見)と報じた。粉ミルクへのメラミン混入は中国で発覚、日本をはじめ世界各国でメラミン入りの牛乳を使用した食品が出回り、グローバルな社会問題となった。ところが、米食品医薬品局(FDA)は、米国の大手メーカーが製造した粉ミルクにもメラミンが混じっていたと発表した。
「アメリカよ、お前もか」とメディアは一時、騒然となったが、FDAの説明によると、製造過程での混入か、ミルク缶に施されたコーティング剤の影響というもので、意図的な混入ではない。また、見つかったメラミンの量も〝痕跡〟程度ということだった。
さて、数学の公式と自動車レースと粉ミルクが、なぜ同じformulaなのか?
語源は、字面から連想できるようにform(形式)を指すラテン語formulaで、オックスフォード英語大辞典(OED)によると、1638年ごろには、儀式・典礼で述べる式辞を意味した。それが転じて「公式」となり、method(方法)、prescription(処方箋)、recipe(レシピ)などを指すようになった。
“Infant formula is an artificial substitute for human breast milk, designed for baby consumption.”(粉ミルクは、赤ちゃんのために作られた母乳の人工的な代替品)ということで、母乳の成分を詳しく分析し、非常に近いものが作られている。その成分の割合が一定のformulaで、FDAはガイドラインを設定しており、メーカーはそれ以外の成分を勝手に混入してはならない。混入すれば、罰則が科せられる。
また、F1はFormula Racingで、文字通り「公式レース」の1つ。その意味は、エンジンからタイヤまで車両の仕様が逐一規定されているだけでなく、ドライバーの行動までルールが設けられている。ルール違反にはペナルティだ。
さて、数学の公式と言えば、勉強嫌いにとっては、ろくろく理解せずに丸暗記するものとして、あまり評判がよくない。
そこで、偉大な物理学者アインシュタインの唱えた「成功の公式」を披露しておく。
“If A equals success, then the formula is A equals X plus Y and Z, with X being work, Y play, and Z keeping your mouth shut.”(Aが成功に等しいとすれば、AはXとYとZを足したものに等しい。Xは仕事、Yは遊び。そしてZは、口をつぐんで要らないことはしゃべらないこと)The Sankei Shimbun (December 14 2008)「グローバル・English」はこちらへ
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