2011年12月2日金曜日

battery


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 batteryはカタカナ読みでは「バッテリー」。すぐに思い浮かぶのは、野球の投手と捕手。だが、ここでは「電池」を指す。
 電池は今や、科学ニュースの分野ではホットなトピックスの1つ。ロイター通信(2009年4月2日付)は、“Gene-Engineered Viruses Build a Better Battery”(遺伝子を組み換えたウイルスがより性能のよい電池を作る)と報じた。Gene-engineering(遺伝子組み換え)といえば、バイオテクノロジー。電池は素材科学など工学であるが、その2つの分野の技術交流によって開発された素材で作った電極を使って、“a more efficient and powerful lithium battery”(より効率的で出力の大きなリチウム電池)が作れたという。マサチューセッツ工科大学のアンジェラ・ベルチャー教授ら素材科学研究チームの成果である。
 こうした研究は、new clean-energy technology(新たなクリーン・エネルギー技術)として、オバマ政権のGreen New Deal(グリーン・ニュー・ディール=環境重視の経済再建計画)に位置づけられている。つまり、石油依存からクリーン・エネルギーである電気に転換していくためには、高性能の電池の開発がカギを握るというわけ。
 さて、その電池の材料として注目を集めているのがリチウム。タイム誌(2009年2月2日付)は、“Power Play”(攻撃的行動作戦)と題して、“Automakers need lithium for the next generation of battery-driven cars. That will mean talking to Bolivia.”(自動車メーカーでは、次世代の電池で動く自動車にリチウムが必要。それはボリビアとの交渉を意味する)と報じた。ボリビアは南米の最貧国だが、実はリチウムの産出量では、世界の約半分を占めるという。モラレス大統領は、この資源を国有化し、リチウム電池を生産する体制づくりを進めている。それだけに、世界の自動車メーカーは、その計画に何とか参入するために厳しい交渉を迫られているという。今後、エレクトロニクスや家電メーカーなども加わり、激しいリチウム争奪戦が繰り広げられるだろう。
 ところで、batteryの語源は、古仏語のbatterieで英語ではbeating。つまり、「打ち続ける」といった意味。戦争で砲弾を撃ち続けるためには、大砲を並べた砲列が必要であり、砲列、砲兵隊の意味で使うようになった。batteryの語を「電池」の意味で最初に使ったのは、米国建国の父であり、電気の研究で名声を博したベンジャミン・フランクリン(1706~90)。1752年には、稲妻が電気であることを証明するため、雷雨の中で凧を揚げて、落雷によって生じた電気を、「ライデンびん」と呼ばれる初期の〝電池〟に導いて蓄える実験に成功した。命がけの挑戦であり、電気の歴史の偉大な瞬間であった。フランクリンはこう言う。“Energy and persistence conquer all things.”(エネルギーと粘り強さがすべてを克服する)The Sankei Shimbun (april 20 2009)