2011年12月9日金曜日

too big to fail


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


bigは「大きい」だが、too bigは「余りに大きい」「大き過ぎる」。“Big is good.”(大きいことはいいことだ)は遠い過去のキャッチフレーズになり、今やアメリカを代表する“big business”(大企業)に対しても“too big”という批判が巻き起こっている。
最初は勝ち組(winners)の話。ニューヨーク・タイムズ(2009年2月22日付)は、“Everyone Loves Google, Until It’s Too Big”(みんなグーグルが大好き、大きくなり過ぎるまでは)と報じた。Googleはサーチエンジンの最大手。アメリカではYahooやマイクロソフトのMSNなどを圧倒して、70%以上の市場シェアを占める。「ネットサーチ」の代名詞ともなり、まさに“big name”(大きな名前=有名という意味)にのし上がった。だが、ここで待ったがかかり始めた。同社とYahooの広告提携が反トラスト法(日本の独占禁止法)違反で流れたうえ、“street view”(ストリートビュー)によるプライバシーの侵害問題が多発した。
一方、負け組(losers)のtoo bigは、さらに問題が深刻化。2008年9月、米大手証券のリーマン・ブラザーズの経営破綻以来、アメリカを代表する大手銀行が相次いで経営危機に陥り、オバマ政権は発足以来、不良資産の買い取りや公的資金の投入など支援に乗り出した。90年代日本におけるバブル崩壊後の金融機関への公的支援と同じく、“The Too Big to Fail Policy”(「大き過ぎて潰せない」政策)である。つまり、問題の銀行を潰すと、金融市場や経済全体への影響があまりに大きい、と判断して、政府が支援に乗り出したわけ。
だが、ここでも待ったがかかった。どの銀行も儲けるだけ儲けて規模を拡大したくせに、経営が行き詰まると政府に助けを求めるとは、何とも身勝手な話だ、という反発。しかも、救済資金は巨額に上り、そのツケは税金でまかなわれるとあって、“They are too big to bail.”(救済するには大き過ぎる)との批判は絶えない。
さらに、かつて世界に威容を誇った大手自動車メーカー3社の“Big3”(ビッグスリー)まで“We are too big to fail.”(われわれは潰れるには大き過ぎる)と言わんばかりに、政府に泣き付いた。
これらのbig businessを支援するのにいったいどれだけの税金を投入しなければならないのか?最後に残されるのは“big deficit”(大きな赤字)だけということにもなりかねない。
オバマ大統領は就任式で“a new era of responsibility”(責任の新たな時代)を求めたが、実際にやって来そうなのは、“the era of big government”(大きな政府の時代)である、と共和党側は非難する。“Government is not the solution to our problem, government is the problem.”(政府はわれわれの問題の解決策ではない。政府こそが問題だ)と1981年の就任式で述べたのは、共和党のレーガン大統領である。The Sankei Simbun (March 9 2009) 「グローバル・English」はこちら