2012年12月10日月曜日

zinger 政治家は口のうまさだ!

Illustrated by Kazuhiro Kawakita
カタカナ読みは「ジンガー」。意味は「当意即妙な言葉」「とげのある言葉」、あるいは「落ち」。これが政治用語では、討論などで相手に与えるverbal jab (言葉によるジャブ)。ウイリアム・サファイアの政治辞典によると、blast(突風、爆発)。“Give him a zinger in the debate and see if he comes apart.”(討論で一発食らわせて、ばらばらにしてやれ)などと使う。
 米大統領選挙は2012年11月6日の投開票を控え、民主党のオバマ大統領と共和党のロムニー大統領候補がテレビ討論で直接対決した。有権者やメディアが期待したのは、決まり切った質問ではなく、zinger。だが、想定外の展開が起こることもある。
 米フォーブス(2012年10月5日付)は、“Zinger from the President stings business aviation”(大統領の不意の発言がビジネス航空業界を一刺し)と報じた。オバマ氏が10月3日の最初の討論で、社用飛行機を所有する事業家に言及し、もっと税金を納めるべきだと発言したのだ。全米ビジネス航空協会にとっては、まさに寝耳に水の指摘。税金が上がれば、飛行機の売上げは減少してしまう。そこで、緊急に大統領宛の手紙を出して、「この業界は100万人以上を雇用し米国経済を支える産業で、社用機を所有している大半は地方の中小企業だ」と訴えた。
 ところで、オバマ大統領がロムニー候補に、決定的な一発を食らわしたのは3回目の討論だった。AP通信(2012年10月23日)によると、ロムニー氏が米国の軍事支出について、海軍は1917年以来もっともship(戦艦)の数が少ないと批判した際に、オバマ氏はこう答えたのだ。
“Governor, we also have fewer horses and bayonets. We have these things called aircraft carriers, where planes land on them. We have these ships that go underwater, nuclear submarines.”(知事さん。われわれはまた、馬や銃剣の数も少なくなりました。われわれは空母と呼ばれるものを保有しています。そこには飛行機が着陸できます。これらの船は海底を進む、原子力潜水艦です)
 さて、演説の草稿を作るスピーチ・ライターにとって、zingerはa moment of uplift in a speech(演説の盛り上がりの瞬間)とか、観衆が沸き立つようなpunch line(落ち)を指す(政治辞典)。とにかく政治家は口が達者でなくては勤まらない。





























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