2012年12月29日土曜日

outbreak ノロウイルスが世界的に猛威

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 元になるのは動詞形でbreak out(爆発する、勃発する)。outbreak(アウトブレイク)は「爆発」、戦争の「勃発」の他に、cholera outbreak(コレラの流行)など感染症の発生、流行の意味で使う。
 AP通信(2012年12月28日付)は、“19 ill in suspected norovirus outbreak on liner”(定期船で19人が発症ノロウイルスの疑い)と報じた。この定期船は、ニューヨークからカリブ海を12日間かけて周遊するクイーンメリー2号で、2613人が乗船していたが、食中毒のようだ。
 また、英ガーデイアン(同日付)は、“Norovirus outbreak may have exceeded 1 million, says health agency. Confirmed winter vomiting bug cases soar to 3,538, shutting schools and forcing evacuation of North Sea oil rig”と報じた。英国ではノロウイルスの感染者は100万人を越えていると保健局が推定している。そのうち、学校閉鎖や北海油田の強制避難など確認された感染者だけで3538人に上るという。
 このシーズンは、世界中でノロウイルスが流行しているのだ。
 ところで、この夏、世界に衝撃を与えたのはアフリカ・ウガンダのエボラ出血熱の流行。ウォールストリート・ジャーナル(2012年7月29日付)は、“The world's first major outbreak of Ebola hemorrhagic fever since 2009 has killed at least 14 of 20 people infected in a remote area of midwestern Uganda.”(ウガンダ中西部の遠隔地で2009年以来、世界初の大規模なエボラ出血熱の流行で、20人の感染者のうち少なくとも14人が死亡した)と報じた。ウイルス性感染症で高熱・頭痛などカゼのような症状に始まり、歯肉や鼻から出血が起こり数日で死亡する。現状では治療法が確立していないだけに、恐ろしい。もっとも、英BBC(8月11日付)は、“Uganda's deadly Ebola outbreak under control, says MSF”と報道。MSFはMedecins Sans Frontieres(フランス語)で「国境なき医師団」を指す。それによると、ウガンダの致死的なエボラの流行も制圧された、という。
 感染症の発生は人為的にも引き起こされる。米医師会のニュース(8月10日付)によると、“Hepatitis C outbreak raises public health concerns in 8 states”(C型肝炎の発生が8州で公衆衛生上の懸念を引き起こしている)と報じた。実は、この流行は犯罪によるものだ。“A former New Hampshire medical technician is the suspected source of the outbreak, and he was arrested in July.”(元ニューハンプシャー州の医療技師が大量発生の感染源との容疑がかけられ、7月に逮捕された)。技師は州内の病院に勤務していた当時、30人の患者にC型肝炎を感染させた疑いがもたれる。以前に勤務していた6以上の州でもC型肝炎が発生する恐れがあり、米疾病予防管理センター(CDC)が調査を進めているという。
 感染症のoutbreakに国境はない。明日は我が身と考えて、注意を怠らないことがグローバル時代の心得だ。













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