2013年3月9日土曜日

demitarian



 demi-はラテン語でhalf(半分)を意味する。tarianはvegetarian(菜食主義者)の-tarianと同じく、「~食主義者」といったところ。では、demitarian (半分食主義者)とは、何が半分かというとmeat consumption(肉の消費量)。肉の消費量を半分にする食生活をする人を指す。demitarian dietはそうした食生活。
 この言葉は、国連環境プログラムの研究“Our Nutrient World”(われわれの栄養世界)の著者である Mark Sutton教授の造語。
 The New York Times(2013月2月22日付)は、"Would You Cut Down on Meat to Help the Environment?"(環境保護のため肉を減らすの?)という記事でdemitarianを紹介した。科学者の間では、巨大な牧畜産業は自然界のnitrogen cycle(窒素循環)に大きく影響することが知られてきた。つまり、動物の排泄する大量の糞尿(窒素が含まれる)のために環境汚染が進むという。そこで、2009年欧州で“The Barsac Declaration: Environmental Sustainability and the Demitarian Diet” (環境の維持保護と〝肉を半分にする食生活〟というバルサック宣言)が採択された。
 では、世界の肉の消費量はどれくらいで、どこの国が一番多いか?北米の年間平均消費量が121㌔㌘で、一日当たりは331㌘で一番。欧州が91㌔㌘、249㌘で2番。中国が54㌔㌘で147㌘—などで、世界平均は39㌔㌘という(Wikipedia)。なるほど、これを半分にすれば環境破壊は随分減るだろうが、そのためには欧米人が率先して食生活を変える必要があるというわけ。
 肉食は確かに筋肉隆々の体をつくり、ガンバリもきくが、半面大腸がんなどの原因にもなりかねない。それだけに、健康のためにも肉を食べ過ぎず、野菜を食べよう、ということになる。
 もっとも、年を取ると、それほど肉も食べたくなくなる。欧州の肉の年間平均消費量が北米よりも少ないのは、あるいは社会の高齢化によるところが大きいのかもしれない。
 だが、文豪トルストイは、”A man can live and be healthy without killing animals for food; therefore, if he eats meat, he participates in taking animal life merely for the sake of his appetite.”(人は食物にするために動物を殺すことがないならば健康に生きられる。それ故に、肉を食べるのは、ただ自己の食欲を満たすためにのみ動物の生命を奪うことに荷担することだ)と述べている。菜食主義者からすると、demitarianでも許し難い、という。


 

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