2013年3月9日土曜日

bionic サイボーグになりたい?

Illustrated by Kazuhiro Kawakita



 英和辞書では「生体工学の」「サイボーグ(cyborg)的な」と訳される。一説によると、米空軍医師ジャック・スティール博士が1958年に造語、古ギリシャ語に由来するbion(life=生命)に-ic(like=~のような)を付けて、“like life”(生命のような)というのが語源という。ただし、アメリカン・ヘリテージ辞典では、元の言葉はbionics(生体工学)で、bio-(生物の)とelectronics(電子工学)を合わせた言葉としている。
 bionic armやbionic legは、ハイテク技術を活用してつくられた義手や義足で、現在ではイラク戦争などで負傷し腕や足を切断した米兵が装着して、日常生活に復帰している。
 英国のデイリー・メール(2012年6月17日付)は、“‘Bionic’ woman who competed in the London Marathon will cycle from Paris to London for charity”(ロンドン・マラソンを競った〝サイボーグ〟女性が、チャリティのためにパリからロンドンまでサイクリングするだろう)と報じた。この女性は、乗馬中の事故で下半身が麻痺する障害を負ったが、bionic legsを装着し、今年4月にマラソンに出場、スタートから16日間がかりで完走した。彼女は来春、電気刺激で筋肉を動作させる自転車に乗って走るという。
 ところで、cyborgはcybernetic(人工頭脳工学の)とorganism(有機体、生命)の造語で、「改造人間」を指し、1960年代からSFの世界に登場したが、今や現実のものになりつつある。 
 医師で作家のダニエル・ウィルソン氏は、ウォールストリート・ジャーナル(2012年6月1日付)に、“Bionic brains and beyond”(サイボーグ的頭脳と、その向こうにあるもの)とのエッセイを寄稿。その中で、“High-tech implants will soon be commonplace enhancements under our skin and inside our skulls, making us stronger and smarter.”(ハイテク機器が近い将来、われわれの皮膚の下や頭蓋骨の中に普通に移植されて能力を強化し、われわれをより強く、より賢くするだろう)と述べている。