2012年1月25日水曜日

etiquette


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 etiquetteは「エチケット」「礼儀」「作法」。カタカナ読みでもう少し正確には「エティケット」。ウェブスターズ・カレッジ辞書の定義は、“conventional requirements as to proper social behavior”(正しい社交に要求される慣例)または、“a prescribed or accepted code of usage in matters of ceremony”(儀礼に際し規定・容認された慣行)。
 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(2008年9月9日付)は“For McCain and Palin, a new etiquette”との見出しで、共和党の大統領候補だったマケイン上院議員と副大統領候補に選ばれたペイリン・アラスカ州知事のために、〝新しいエチケット〟が生まれた、と報じた。“For now, the rule is simple: Hug your running mate, kiss your wife.”(今やルールは簡単。ランニング・メートには抱擁、女房にはキス)。つまり、共和党大会でペイリンさんが受諾演説をした後、“McCain gave her a hug, not a handshake.”(マケインは彼女と握手ではなく、抱擁した)。続いて“He took a short side-step and planted a peck on his wife’s cheek.”(少し横に寄ると、女房の頬にチュッとした)というわけ。この演出は、その後の演説会などでも見られた。
 1984年の大統領選挙で、民主党のモンデール大統領候補に初の女性副大統領候補としてフェラーロ下院議員が選出されたが、“Mondale had a strict ‘hands off’ policy.”(モンデールは決して相手の体に触れない方針を貫いた)。その結果、2人は並んで手を振るだけだった。“People were afraid that it would look like, ‘Oh, my God, they’re dating’ .”(何とあいつらデートしている、と見られるのを恐れた)とフェラーロさんは、当時を振り返る。あれから4半世紀を経て、何が変わったのだろうか?
 アメリカの副大統領の主要な職務は、大統領に万が一のことがあった場合に、大統領になること。それだけに、かつては同等の経験者をランニング・メートに選んだようだ。けれども、最近の選択を見ると、大統領に足りない部分を補う選択が目立つ。民主党の大統領候補オバマ上院議員は、自分に不足した政治経験を補うためにベテランのバイデン上院議員を副大統領候補に選んだ。しかも、バイデン氏は白人である。
 マケイン氏の選択を考えると、自分に足りない若さ(当時、マケイン氏は72歳で、ペイリンさんは44歳)と〝女性の魅力〟を補った。だが、マケイン氏には、First Lady候補のシンディさん(54歳)がいる。そこで、政治上の女房役のペイリンさんとは、接し方に一線を画した。ペイリンさんも、この抱擁を、“It’s a form of professional endearment.”(職業上の親愛の一表現)と割り切って考えたようだ。
 だが、この新しいエチケットの真似は禁物。というのも“Hugging at an office may be considered sexual harassment, unless it’s OK with two people.”(オフィスでの抱擁は、両人がOKしないかぎり、セクハラと見なされかねない)。The Sankei Shimbun (October 19 2008) 「グローバル・English」はこちらへ