語源はサンスクリット語のsvastika。"su" は"good," "asti"は"to be," そして "ka"は接尾辞。本来の意味は“to be good”(よきこと)、つまり吉祥である。そのシンボルが卍(かぎは左向き)、かぎ十字だ。Swasticaは古代インドで生まれ、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教では幸運のシンボルとなった。
ところが、西洋では20世紀以降、このマークは〝悪の紋章〟として忌み嫌われる。1920年ドイツのナチスがこのマークをシンボルとして用いたためである。ドイツ語ではHakenkreuz (hook-cross)。
ナチスは、これをアーリア人のシンボルとみなし、アドルフ・ヒットラーが政権を掌握した1933年に、右向きのかぎ十字を旗章にした。
ユダヤ人虐殺(Holocaust)をはじめナチス・ドイツの悪行は、欧州のtraumaとなり、今も各国でこのマークを公共の場に掲げることが禁止されている。
ところが、デイリーメール(7月15日付)は、“Madonna faces legal action for using image of Swastika pasted onto French National Front leader Marine Le Pen's head”(マドンナは、フランスの「国民戦線」(FN)のルペン党首の額にかぎ十字を貼ったイメージ=写真=を用いたことで、訴訟に直面する)と報じた。
14日パリで行われたコンサートで、マドンナが歌う背景のスクリーンにルペン党首の顔が映し出され、額にかぎ十字が浮かび上がった後、ヒットラーに似た人物が映され、観衆は騒然となったという。この挑発に激高した国民戦線はマドンナを訴えるというわけ。
「国民戦線」は、父親のJean-Marie Le Pen氏が創設した極右政党で、人種差別で反ユダヤ主義を標榜、第二次大戦中のHolocaustを否定して話題を呼んだ。最近では、移民排斥を打ち出して、仏国民の支持を集めてきたが、昨年、娘(43)に党首の地位を譲った。娘のルペン党首は、4月の大統領選挙の第1回投票で18%の票を獲得している。
マドンナが、どういう意図でこうした映像を公開したのか?
おそらく、話題の人物を揶揄することで、欧州での話題をさらうことを企画したのだろう。
国民戦線の副党首のFlorian Philippot氏は、“This is just another provocation in Madonna's world tour so that people will talk about her.” (これはマドンナの世界ツアーでの、いつもの挑発で、人は彼女について騒ぐだろう)といいながらも、腹の虫が治まらない。
“Marine Le Pen will defend not only her own honour but her supporters and the millions of National Front voters.”(マリン・ルペンは彼女の名誉だけでなく、彼女の支持者や何百万の国民戦線への投票者の名誉も守らねばならない)と述べている。
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