Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
off limitsは「立ち入り禁止」。ハイフンでつないでoff-limitsとすると「立ち入り禁止の」という形容詞。だが、このlimitsは何か、疑問が残る。実は、limitは米俗語で「境界」を表し、複数形はthe premises or region enclosed within boundaries(境界で囲まれた敷地とか地域)のこと。 We found them on school limits after hours.(数時間後に学校の敷地で彼らを見つけた)というように使う。そこで、offを付けて、境界に近づくな、という意味でoff limits。onを付けると、入ってもよろしいで、on limitsは立ち入り自由。
もっとも、人は禁止が好きなのか、off-limitsがよく使われる。
たとえば、AP通信(2011年4月21日付)は、福島第1原発の事故に関して“Japan declares 12-mile zone around nuclear plant off-limits”(日本政府は原発の半径12㍄=20㌔の範囲を立ち入り禁止に)と報じた。また、off limitsは議論することを許さない「聖域」という意味でも使う。
連邦赤字削減の議論が白熱する米国議会では、共和党が“deep spending cuts without any tax increases”(増税なき大幅な支出削減)を求めて大攻勢をかける。それに対してオバマ大統領は、税控除や富裕層に対する優遇税制を含め、すべての予算案を見直す考えを表明した。大統領は7月2日のラジオ演説で、“Nothing can be off-limits, including spending in the tax code, particularly the loopholes that benefit very few individuals and corporations.”(税法上の支出、とくに極少数の個人や企業にメリットがある抜け穴を含め、いかなる支出も〝聖域〟とはしない)と語った。
Nothing can be off-limits for the reformation.
は「聖域なき改革」であろう。
一方、英ガーディアン(2011年6月27日付)は、“Human rights not off limits in discussions with China, says Cameron”(人権問題は中国との議論において〝聖域〟ではない、とキャメロン首相は語る)と報道。欧州を歴訪していた温家宝首相はデイビッド・キャメロン首相と会談後、記者会見で中英両国が14億ポンドの商談に合意したと発表した。人権問題を取り上げたか、との質問にキャメロン首相は、“We have a dialogue that covers all these issues.”(両国の対話はこれらすべての事案に及ぶ)と回答。一方、温首相は、“On human rights, China and the UK should respect each other, …engage in more co-operation than finger-pointing and resolve our differences through dialogue.”(人権問題については、中国と英国はお互いを尊重し、…指弾するよりもさらに協力し、対話を通じてわれわれの相違を解決すべきだ)とはぐらかした。“Money talks or not?”― 果たして、金がモノをいったかどうか…。(July 18, 2011)
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