Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
gasは「ガソリン」。日本でも「ガス欠」などというとおり。guzzlerは、動詞がguzzleで「がぶがぶと飲む」。to guzzle beerというと、ビールをがぶ飲みすること。「がぶ飲みするやつ」がguzzlerで、カタカナ読みして「ガズラー」。そこで、gas guzzlerは「ガソリンをがぶ飲みするやつ」、つまりガソリンをどんどん消費するgas mileage(燃費)の悪い大型車(たとえば、ガソリン1㍑当り8.5㌔以下)を指す。
gas guzzlerは、“amid high gasoline prices and environmental pressures”(ガソリン価格の値上がりと環境問題が高まるなかで)、消費者からソッポを向かれつつある。かつてgas guzzlerの生産を誇った〝ビッグ3〟が凋落し、燃費のよい日本の小型車が全米を席巻しているのもこの流れだ。
米政府は、第1次石油ショック後の1978年、エネルギー税法で“Gas Guzzler Tax”(ガス・ガズラー税)を創設、燃料効率の悪い大型車に課税することで、メーカーに小型車への生産シフトを促してきた。だが、国土が広い米国では、馬力のある大型車の人気は衰えない。都会では小型のセダンで間に合うが、一歩郊外に出たり、Interstate Highway(州間高速道路)を走るとなると、「大型でないとダメ」というのが本音のようだ。
Gas Guzzler Taxにはloophole(抜け穴)があって、実はトラックは含まれていない。だから、メーカーはトラックの車体と乗用車を合体させたようなsport utility vehicle(SUV=スポーツ多目的車)やvan(日本のバンより大型)、pickup truck(小型トラック)に力を注ぐようになった。今も全米で販売される自動車の約半分は、この種のlight-duty truck(軽トラック)だ。
ところが、global warming(地球温暖化)の原因としてcarbon dioxide emissions(二酸化炭素ガス排出)がヤリ玉に挙げられ、SUVの燃費の悪さと排出ガスの環境への影響が問題になってきた。環境保護派は、軽トラタイプ、とりわけ人気のSUVにもGas Guzzler Taxを課すべきだと主張。さらに過激派は、駐車してあるSUVに無差別に襲い掛かり、放火したり叩き潰したりする“SUV vandalism”(SUVへの蛮行)に及んでいる。
さて、gas guzzlerは何も車だけではない。このgasを広くoil(石油)に置き換えるならば、2006年の“Top World Oil Guzzlers (Consumers)”(世界のトップ石油消費国)は、1位がダントツで米国。以下中国、日本、ロシア、ドイツと続く。われわれは大量の石油を消費して経済成長を支える一方で、地球環境を破壊している張本人なのだ。
ウォールストリート・ジャーナル(2007年8月1日付)は“Putting a Muzzle on Guzzlers”(ガズラーに口輪をはめる)という気の利いたタイトルで、SUVの燃費向上に関する記事を掲載していたが、このタイトルはわれわれ自身への警告でもある。The Sakei shimbun(October 21 2007)「グローバル・English」はこちらへ
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