Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
roadside(路肩)のbomb(爆弾)でroadside bomb。カタカナ読みは「ロウドサイド・ボム」。道路の端や側溝に仕掛けられた爆弾で、通り掛かった戦闘部隊や戦車を攻撃する。軍事用語ではimprovised explosive devices(IEDs=即席爆発装置)。爆発物と起爆装置などで作られた手製の爆弾で、homemade explosives(HME=ホームメイド爆弾)ともいう。
イラクに駐留する米軍兵士の〝最大の敵〟は、insurgent(反政府武装勢力)が仕掛けるroadside bombs(複数形)と言われる。2007年には米兵の死亡原因の8割がroadside bombsによると報告された。世界1のハイテク武器を装備した米軍が、手製の爆弾を防ぐことができないのか?
タイム誌(2007年6月25日・7月2日合併号)は、“The Enemy’s New Tools”(敵の新兵器)と題する記事で、米軍がroadside bombsにてこずる原因を追及。結論からいうと、手製爆弾とはいえ、予想以上にハイテク化が進んでおり、米軍の防御システムが追いつかないのだ。
国防総省がIEDsによる爆弾攻撃に危機を感じ、専門の対策チームを立ち上げたのは2005年。MIT(マサチューセッツ工科大学)の科学者が中心となって、new detection technology(新しい検知技術)の開発に取り組んだ。テクノロジー・レビュー(2006年2月10日付)によると、爆発物としてTNT火薬が多く使われるので、その飛沫を検知する高感度検知器を製造。検問所などで使われて、爆弾製造者の発見に威力を発揮している。
だが、問題は起爆装置。その遠隔操作の時限装置にはgarage-door opener(車庫の開閉装置)やwashing-machine timer(洗濯機のタイマー)、さらにcell-phone(携帯電話)が使われる。そのなかでもとくに、携帯電話を鳴らして信号を送るメカニズムが広く用いられている。米軍は対策としてelectronic jamming device(電子信号妨害装置)を戦闘機や車両に搭載しているが、これが敵のハイテク技術によって骨抜きにされた結果、米軍の被害が拡大しているという。
さて、タイム誌は、アブダラと名乗る匿名のterrorist geek(テロリストのハイテク技術者)にインタビューした。彼は、複数のinsurgentのグループにIEDsの技術を提供しているとされ、「彼ら(米軍)は技術でおれを打ち負かすことはできない」と公言。インタビューの最後に、実際に妨害信号を流す実験を行い、一緒に部屋にいた人々のケータイが通話不能に陥るなかで、彼のケータイだけが唯一通話できることを披露し、技術の差を見せつけたという。アブダラは、かつてMITでの博士号取得を夢見たことがあり、別の人生を歩んでいたら〝IEDs対策チーム〟の一員であったかもしれない。だが、“God decided I should be on the other side.”(神の思し召しで反対側にいる)と語る。何とも皮肉な話である。The sankei Shimbun(July 8 2007)「グローバル・English」はこちらへ
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