Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
donationは「寄付」「寄進」。動詞はdonateで、別の英語ではgive as a gift(贈りものとして与える)。とくに、見返りを求めないcharity(慈善行為)をいう。「寄付する人」がdonor。日本語でも「ドナー」というが、その場合は医学用語として、“a provider of blood, an organ, or other biological tissue for transfusion or transplantation”(輸血や移植のために血液や臓器、他の生体組織を提供する者)を指す。
東日本大震災では、2011年3月11日の大地震発生以来、海外で震災支援の募金活動が展開されている。英ガーディアン(2011年3月14日付)は、“How to donate to the Japan relief effort”(日本の救援活動へ寄付する方法)という記事を掲載。“Many relief organisations worldwide are collecting money to help fund the relief effort in Japan after the earthquake and tsunami.”(世界中の多くの救援組織が、地震と津波のあと、日本での救援活動に資金を提供するため募金を集めている)と述べた。
米ボストン・グローブ(同3月17日付)も、“How to make a donation to relief efforts in Japan”と同じ内容の見出しで募金を呼びかけたが、この“donation to relief efforts”が日本語の「義援金」に当たる。記事には、American Red Cross(米国赤十字社)のほか、Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)などの支援団体が名を列ねる。米国での募金活動は、日本と同じく全国に及び、スーパーのレジでも行われているという。
ところで、医学用語としての donationでもっともポピュラーなのがblood donation(献血)。医療用の血液は世界各国で不足しがちだが、とくにアフリカでの不足は深刻。ガーナ・ニュース・エージェンシー(4月10日付)は、“Educational institutions urged to support blood donation”(教育機関に献血への支援を促す)と報道。“Shortage of blood has been one of the major causes of maternal and infant mortality in hospitals.”(血液不足が病院での母子の主な死亡原因の一つである)としたうえで、学生に献血を啓発するよう学校に協力を求めるという。また、ケニア放送ニュース(4月11日付)は、“Police officer in walk to create blood donation awareness”(警察官が献血への意識向上を呼びかけて歩く)と報じたが、彼が歩く距離は何と250㌔に上り、各地に駐在する警察官らに地元での献血を呼びかけているという。いずれの場合も献血の主役は健康な若者である。
さて、donation の類義語には、offer(申し出、提供)とかcontribution(貢献、寄与)などがある。困っている人に手を差し伸べ、社会に貢献するというのが共通の趣旨である。“The measure of life is not its duration, but its donation.”(人生を評価する尺度は、その長さではなく、その寄与度である)と、かつて米国のある牧師が説いたが、けだし至言であろう。(May 2 2011)