Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
clearは「透明な」「はっきりした」という形容詞。Let me be clearは、「私(の主張)をはっきりさせたい」という、前置きに使われる短文。日本語の表現では、「はっきり言って…」に当たる。カタカナ読みは「レット・ミー・ビー・クリア」。
この言葉は今や、“Obama’s catch phrase”(オバマ大統領のキャッチ・フレーズ=2009年8月1日付ポリティコ)となった口癖(verbal tic)。演説の重要なところになると、繰り返される。
たとえば、テロ対策について、“Now let me be clear : We are at war with al-Qaida and its affiliates.”(今はっきり言って、われわれはアルカーイダとその一味に対して戦争状態にある)。また、学力テストについては、“Let me be clear : Success should be judged by results, and data is a powerful tool to determine results.”(はっきり言って、成功は結果によって判断すべきだ。データは、結果を判断する有力な道具である)。さらに、モスクワでも、“Let me be clear : America wants a strong, peaceful, and prosperous Russia.”(はっきり言って、アメリカは、強くて平和的な、繁栄するロシアを望んでいる)。(以上AP通信)
オバマ氏のLet me be clearのバリエーションには“Let’s be clear.”(われわれ[の主張]をはっきりさせよう)、“I want to be clear.”(はっきり言いたい)などがあるが、いずれも意味するところは、“What I’m about to tell you is important.”(私がこれから君たちに言うことは重要だ)というアピール。
ポリティコによると、Let me be clearはオバマ氏の〝専売特許〟ではない。実は、ニクソン大統領の口癖が、“Let me make one thing perfectly clear.”(一つはっきりさせておきたいことがある)だった。レーガン大統領も、Let me be clearの愛好者で、警告するときによく使ったという。
一方、クリントン大統領は警告の際に、“Make no mistake about it.”(間違うなよ)と念を押した。オバマ氏も、“Make no mistake.”と省略して使うことがある。
だが、オバマ氏のLet me be clearの口癖に対しては、overuse(使い過ぎ)との批判が噴出。“He is greatly concerned with his own transparency.”(彼は、内心では自身の透明性について非常に気にしている)という〝証拠〟だとする、うがった見方もある。そういえば、大統領選挙戦では、“Can we change the world?”(われわれは世界を変革できるか)“Yes, we can !”(できるとも)と歯切れがよかった。だが、現実はどうか?
“Let me be clear : Change isn’t easy.”(はっきり言って、変革は容易ではない)“Let me be clear : It won’t happen overnight.”(はっきり言って、それは一夜では起こりえない)“Let me be clear : There will be setbacks and false starts.”(はっきり言って、つまずきやスタートの誤りもある)The Sankei Shimbun (November 2 2009)
0 件のコメント:
コメントを投稿