2012年11月3日土曜日

adopted child 子供が大好き!

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 adopted childは「養子」。カタカナ読みは「アドプティッド・チャイルド」。動詞のadoptは、英和辞書では「採用する」「採択する」の意味が最初に書いてある。たとえば、議会で決議を採択するのは、adopt a resolution。だが、アメリカン・ヘリテージ辞書など米国の辞書では、“take into one’s family through legal means”(正式な方法=養子縁組で家族にする)が最初に来る。こちらの意味の方が身近なためだ。「養子縁組」という名詞はadoption。「養親」はadoptive parentsだ。
2006年には、人気歌手マドンナがアフリカ南部のマラウイから黒人の男児を養子として迎え、世界的な話題になったが、米国ではこのようなcelebrity adoption(有名人の養子縁組)が盛んだ。映画俳優では、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットのカップル。また、日米関係で著名なリチャード・アーミテージ元国務副長官も6人の養子を迎えている。
 移民同士の混血が進む米国では、血筋にこだわりを持たない人が多く、養子を持つ家庭は8軒に1軒。さらに、毎年約12万人が養子縁組されるという。そのうち海外から子供をもらう国際養子縁組は、2005年に約2万3000人。国別では中国がトップで、以下ロシア、グアテマラ、韓国と続く。
 子供を養子に出す側としては、経済的理由が大きい。最近ではシングルマザーで養育できないケースが増えている。国際養子縁組の場合、貧困にあえぐ国々では、子供を養子に出すことが「口減らし」になるという現実がある。
 養子を取る最大の理由は、夫婦間の不妊。だが、実子がいる場合でも、養子縁組するケースが少なくない。そのなかには、宗教的な使命感や博愛主義の立場から孤児や障害児を養育する人がかなりいる。また、家族は多いほうがいい、と考える人もいて、理由は様々。養子をもらった世帯には1万ドルの税額控除があり、州によっては同性カップルの養子縁組も可能だ。
 これだけ養子縁組が盛んな米国だが、養子に対する「告知」という大問題は避けて通れない。“You were adopted.”(お前はもらわれてきた子だ)とは、簡単に言えることではない。青少年心理の専門家は、子供たちが養子とは何かを理解できるようになったときに、養親が直接告白するのが最もよい、と指摘している。
 告知の際の言葉使いは微妙である。real mother、father、parents(本当の母、父、親)という言い方は好ましくない。養親はfalse(にせもの)という印象を与えるからだ。そこでbirth mother(生みの母)、biological parents(生物学上の親)などの表現を使うべきだとしている。また、養子に行った子供と生みの親との「再会」をreunion(動詞はreunite)と呼ぶが、子供だけでなく生みの親にも育ての親にも心理的葛藤をもたらす難しい問題である。The Sankei Shimbun (November 5 2006)

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