Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
spankingはspankの動名詞で「叩く」、とくに「罰として手などで尻を叩く」こと。語源は18世紀に遡り、パンと叩く音から「スパンク」というようになったという説がある。カタカナ読みは「スパンキング」。この言葉は、欧米ではcorporal punishment、またはphysical punishment(体罰)の総称として使われる。
2007年2月初めにカリフォルニア州議会で、女性議員のサリー・リーバーさんが、4歳未満の幼児に対する体罰を禁止する法案を提出したので、spankingは一躍脚光を浴びることになった。法案は、家庭で子供の尻を叩くなど体罰を加えると、1年以下の懲役と1000㌦の罰金、また親の教育クラスへの出席が求められるという。
背景にあるのは、child abuse(児童虐待)の横行。discipline(しつけ)と称して、子供に過激な体罰を加えたり暴力を振るったりする行為は、米国でも後を絶たず、大きな社会問題となっており、誰しも歯止めを掛ける必要がある、と考えている。
ところが、spankingは伝統的な子供のしつけ方法として、今でも20州以上の学校で容認されている。親が家庭で言うことを聞かない子供の尻を叩くことは、今でも日常的に行われている。それだけに、USA TODAY(2007年1月25日付)は“To Spank or Not to Spank”(叩くべきか、叩かざるべきか)という社説を掲載、この体罰禁止法案に疑問を投げかけ、子供に対する「虐待的暴力は容認できないが、家庭のしつけにまで政府が口を出して親を犯罪者扱いするのも、また容認できることではない」と述べた。
米国の学校では、かつてはpaddleと呼ばれる〝へら〟でやんちゃ坊主の尻を叩いてお仕置きをしたが、今では、そんな古風なことをしているところは少ない。実際にはtime-out(もとは「小休止」「中断」という意味)という方法が一般的で、規則を破った子供は別の部屋に連れて行かれて、他の生徒から一時的に隔離され、反省をさせられる。別の部屋に移すのに抵抗する場合には、spankingもやむを得ないという。
多くの先進国では法律上、学校での体罰を禁止しており、北欧諸国などでは家庭での体罰も禁止する国が増えている。
子供のしつけに体罰が必要だという人が常に引き合いに出すのが、“Spare the rod and spoil the child.”(鞭を惜しむと子供をダメにする)ということわざである。これは旧約聖書のソロモン王のProverbs(箴言)に由来するが、元の言葉は“He that spareth his rod hateth his son: but he that loveth him chasteneth him betimes.”(King James Version 13:24)で、「鞭を加えざる者はその子を憎むなり。子を愛する者はしきりにこれを戒む」。子供のしつけは愛情によって行うべきであって、腹が立つから子供を殴るというのは、もってのほかである。The Sankei Shimbun(February 25 2007) 「グローバル・English」はこちらへ
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