2012年11月16日金曜日

Ape Diet 究極のダイエットって?

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 apeはゴリラやオランウータン、チンパンジーなどの類人猿。その食事がApe Diet。カタカナ読みは「エイプ・ダイエット」。健康のために野菜・果物・ナッツ類など、サルが喜びそうなものを食べようという「菜食主義的食事療法」のこと。生活習慣病の原因となる血中のコレステロール値を下げる効果があるとして、脚光を浴びている。
 Ape Dietの考案者は、カナダ・トロント大学の血管バイオロジー学者、デービッド・ジェンキンズ博士。高コレステロール血症の患者46人を対象にApe Dietの調査実験を行った。
 そのメニューの典型例を紹介すると、朝食はオート麦のシリアルやパン、豆乳、イチゴ。昼食は黒豆のスープ、オート麦のパンのサンドイッチ。挟んであるのは大豆製人造肉、トマトやレタス。夕食は豆腐ステーキにナス・タマネギ・ピーマンの煮込み。さらに、1日3回の間食はナッツや果物、豆乳。植物性のタンパク質とステロール、食物繊維が豊富だ。2003年の報告によれば、こうした食生活を4週間続けるとLDL(悪玉)コレステロール値が29%も下がり、抗コレステロール薬を用いた治療に匹敵する効果があるという。
 生活習慣病や肥満を招く食生活として、fat(脂質)の摂り過ぎが問題にされる。アメリカ生まれのハンバーガーやフライドチキン、さらにピザなどのfast foodは、脂肪分が多いだけでなく、transfat(トランス脂肪酸)など〝悪い脂質〟が使われているとヤリ玉に挙げられた。脂質の摂取を減らすためには、フライを控えるなどlow fat cooking(低脂肪料理)が長く奨励されてきた。
 ここ数年来の流行は、Atkins Diet(アトキンズ博士のダイエット)に代表されるlow-carbohydrate(低炭水化物)diet。パンや米など主食となる炭水化物を減らして、肉・野菜など副食を多めに摂る方法だ。理論的に炭水化物からのカロリー摂取量が減るために体内の脂質の代謝が進み、その分だけ減量できるという。また、良性の炭水化物と脂質を選んで摂るようにするSouth Beach Diet(サウスビーチ・ダイエット)も人気。両者とも、概して野菜や果物を多く摂るように勧めている。
 Ape Dietは、それらをさらに進めたものと言える。人類もゴリラやオランウータンの〝親戚〟であるから、彼らが常食するものは人間も食べられないわけがない、とジェンキンズ博士は確信しているようだ。菜食主義者もさらにエスカレートすると、「生(raw)」しか食べないrawistになる。こうなると、もうサルの食生活と変わらない。
では、“What is the ultimate diet?”(究極のダイエットは何?)
 “I recommend you Seafood Diet.”(シーフード・ダイエットというのはいかがでしょうか)
 “What is it?”(それはどんなの?)
 “You can just SEE food.” The Sankei Shimbun(August 6 2006)

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