Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
capは「縁なしの帽子」「野球帽」。カタカナ読みは「キャップ」。先端にかぶせるものという意味で、万年筆などの「キャップ」や、転じて「最高限度」「上限」を表す。また、「かぶせる」、「上限を定める」など、動詞としても使う。
昨秋の金融危機以来、ウォール街の金融機関に対する風当たりは強い。とくに、危機の最中に、経営幹部が巨額の報酬を受け取っていたことに、米国民の怒りが爆発。ウォールストリート・ジャーナル(2009年2月14日付)は、“Bankers Face Strict New Pay Cap”と報じた。Pay Capは「報酬支払の上限」の意味で、「(公的資金の投入を受けた)銀行家は、厳しい新たな報酬の制限に直面する」。
ところが、6月10日付のAP通信は一転して、“Geithner: No Caps on Pay for Corporate Executives”(ガイトナー財務長官は「企業の役員に対する報酬制限はない」と語る)と報じ、当初の激しい意気込みは尻すぼみに終わった。長官は会見で、「政府は、企業の株主が役員の報酬額に対して是非を問う採決の法制化を求めるが、その結果は役員会の決定を拘束しないだろう」と述べた。長年の懸案であった株主たちの“say on pay”(報酬についての意見)は、ウォール街の圧力に屈し、結局骨抜きにされてしまった。
さて、米下院エネルギー・商業委員会は2009年5月21日、温室効果ガスの排出権取引を認める法案を可決。ブッシュ前政権の消極的な環境政策から、環境保護重視へ大きく舵を切ることになった。タイム誌(5月22日付)は、“Greens Celebrate Cap-and-Trade Victory-Cautiously”と報じた。このcap-and-trade(キャップアンドトレード)は、排出権取引の1方式。つまり、capとは国や企業に温室効果ガスの排出量を割り当てること。tradeはその枠内で排出権を売買する仕組み。Greensは「環境保護派」。そこで、「環境保護派は排出権取引の勝利を祝う―ただし、慎重に」となる。
地球温暖化問題を訴えた“An Inconvenient Truth”(邦題「不都合な真実」)の映画や著書で、ノーベル平和賞を受賞したゴア元副大統領は、“The bill represents a crucial step forward in addressing the global climate crisis.”(法案は、地球の気象危機に対応するための重要な一歩だ)と語った。だが、急進派の環境保護団体は法案について、「こんなものでは環境破壊を防ぐことはできない」と批判。一方、「エネルギー価格の上昇を招く」との業界筋の主張も根強く、その行方はなお不透明で、「慎重に」という但し書きが付いた。
最後に、“Seven Ten Cap”というジョークをどうぞ。ある婦人がオートショップに来て、Seven Ten Capを求めた。店員は“What’s a seven ten cap? ”(セブン・テン・キャップって何ですか)とたずねると、婦人は○を描いて、その中に710と書いた。そのココロは?710を逆さまにすると、「OIL」。つまり、エンジンのoil capでした。The sankei Shimbun (June 22 2009)
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