Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
callは「呼ぶ」(動詞)、「呼び声」(名詞)。actionは「行動」。一般的に、行動を呼びかける場合、request(要求)の意味の表現はcall for action。ここでは、for の代わりにtoが使われているのがミソ。call は名詞で、call to actionは「行動への呼びかけ」と訳せる。カタカナ読みは「コール・トゥ・アクション」。
2009年のノーベル平和賞は、オバマ米大統領に授与されることが決まり、世界中があっと驚いた。大統領に就任してわずか9カ月足らずでの受賞に、本人も“I am both surprised and deeply humbled by the decision of the Nobel Committee.”(ノーベル賞委員会の決定に驚くと同時に大変恐縮します)と答え、自身の実績を考えると、他の多くの受賞者と肩を並べるだけの資格があるとは感じていないという。だが、“I will accept this award as a call to action, a call for all nations to confront the common challenges of the 21 st century.”(この賞を行動への呼びかけとして、すべての国に21世紀の共通の課題に向き合うことを求める声として受け止めたい)と語った。
つまり、オバマ氏が提唱する「核兵器のない世界」の実現に向けて、口先だけでなく“Take action!”(行動を起こせ)という呼びかけとして受け止めるという。
call to actionは、実はビジネス用語。“Words that urge the reader, listener, or viewer of a sales promotion message to take an immediate action.”(販売促進のメッセージを受け取った読者や視聴者にただちに行動を起こすように促す表現)と定義される。すなわち、顧客に考える時間を与えず、気が変わらないうちに商機をとらえようと意味合いだ。
call to actionの典型的な表現が、“Buy now”(今すぐ買おう)。このnowが、間髪を入れない決断を促す。ほかにも、“Call now”(今すぐ電話)、 “Reserve now”(今すぐ予約)などのバリエーションがある。さらに、インターネットのサービスでは、“Click here”(ここをクリック)がお馴染み。“Sign-up now”(今すぐサインアップ)や“Immediate Down load”(すぐにダウンロード)などもよく目にする。だが、必ずしも命令形ばかりではなく、“Best value”(最もおトク)とか“Easy to use”(使いやすい)などの誘い文句もある。
さて、人生においてもactionが一番大切。ドイツの作家ゲーテはいう。“Knowing is not enough, we must apply. Willing is not enough, we must do.”(知っているだけでは不十分で、応用しなければならない。期待するだけでは不十分で、行動しなければならない)と。ただし、行動派の作家ヘミングウェイはこう釘を刺す。“Never mistake motion for action.”(ただ動くというのを行動と勘違いしてはいけない)。
actionの前には、“Think twice!”(よく考えて)。The Sankei Shimbun (October 19 2009)
0 件のコメント:
コメントを投稿