Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
genderは「性」。bendは「曲げる」と言う動詞。語の起源は1980年代に生まれたgender-benderで、文字通りでは「性を曲げる人」だが、“a person who dresses and behaves like a member of the opposite sex”(異性の格好をしたり、そのように振る舞う人)の意味。形容詞がgender-bendingで、性差がわかりにくくなる意味にも使う。
AP通信(2012年2月10日付)は、“Gender bending model still causing a stir”(異性装のモデルが依然〝興奮〟のタネ)と報じた。世界のファッション界で注目を集めるボスニア生まれのオーストラリア人、アンドレイ・ペジック。その容貌は美しい女性モデルだが、実はれっきとした男性。しかも、男性モデルもやれるというから、まさにsupermodelと呼ばれるにふさわしい。記事では、“His androgynous beauty has turned him into a trendsetter in an industry.” (その両性具有的な美が彼を業界の流行発信者に変えた)と述べ、2011年の1年間で14の雑誌の表紙を飾ったという。
異性の服装をするという動詞はcross-dress。大昔から祭礼や芸能をはじめcross-dressingは盛んに行われて来たが、最近では迫真のリアリティが追及されるようだ。また、habitual cross-dresser(いつも異性の格好をしている人)や性転換手術をした人などのtransgender person(性差を越える人)も目新しいことではなくなってきた。日本でいう「ニューハーフ」はshemaleという。
だが、新たな問題としてニューヨーク・ポスト(2010年11月27日付)は、 “Gender-bending athletics”(性差が分かりにくくなる運動競技)とのコラムを掲載した。ある大学の女子バスケットボールチームの女性選手がtransgender personとして、自分は「男性」であると宣言。そこで、この人は女性か男性か、となったわけ。NCAA(全米大学体育協会)は、選手のsexual reassignment surgery(性別適合手術)やホルモン療法を禁じているため、この人はそれらを控えているという。だが、人権尊重の立場からtransgender の人々への差別を禁じる州もあり、今後のスポーツ界に波紋を呼んでいる。
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