Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
take は「とる」「受け取る」という動詞で、itは「ものごと」を指す。中心になるのはeasy(容易な)という形容詞。ここでは「気楽な」「ゆっくりとした」といった意味になる。take it easyは「ものごとを気楽に考える」「ものごとをゆっくりする」という慣用表現。つまり、「無理しない」「急がない」。カタカナ読みは「テイキッティージー」。
AFP通信(2009年11月15日付)は、“Bolt Hopes to Take It Easy in 2010”(2010年、ボルトは気楽にやりたい)と報じた。これは、百㍍を9秒58で走る世界最速の男、ジャマイカのウサイン・ボルト選手のこと。彼はメキシコでのインタビューで、“This year will be a little strange. We’re not going to do much or try to do a lot.”(今年はちょっと変則的になるだろう。やることがあまりないし、多くを試すこともない)と語った。つまり、2010年はオリンピックがないので暇だ、というわけ。だが、こう付け加えた。“I don’t consider myself like a Superman, nor gifted. What I do is not easy.”(僕はスーパーマンではないし、才能もあるとは思わないけれど、やっていることは簡単でない)。だから、次の目標(たぶんロンドン5輪)に向かってやるべきことを続けるだけだという。
さて、2010年、世界が直面する大きな課題は、景気回復と環境問題だろう。これらは、今の社会でなかなか両立が難しい。
シカゴ・トリビューン(2009年12月8日付)は、“Take It Easy on CO2 Regulation”(二酸化炭素規制はお手柔らかに)と題する社説を掲載した。Environmental Protection Agency(EPA=米環境保護庁)が推し進めるCO2 排出規制に対し、“Regulation and taxing of CO2 will increase energy prices, drive up fuel costs, and hurt the job market.”(CO2への規制と課税は、エネルギー価格を上昇させ、燃料コストを引き上げ、雇用市場を損なう)と指摘。地元の政治家に対して、“Please do not let bureaucrats dictate more taxation and regulation.”(どうか官僚どもに好き勝手に課税や規制をさせないでくれ)と主張した。
この不況を脱して景気を回復させることは、オバマ大統領のカリスマ性をもってしても、“Yes, We can!”というわけには行かないようだ。それだけに、一般庶民としては、もはやジタバタしたって始まらない。あるブログがこう指摘していた。くだけた英語だが、Take it easy!
“Always in hurry, always in rush. Lots of thing to do. All day out of home. Quick lunch or even not. Stress. Finally at home. Time to rest.”(いつも急ぎ、いつもあわてる。たくさんの仕事をかかえ、一日外に出て、昼飯もかき込むか、食べる暇さえない。ストレス。最後に帰宅して、寝るだけ)。そんな生活を長年にわたって送ってきた人々にとって、景気の停滞はもっけの幸い、エネルギー充電のときである。“Relax!Take it easy.”(リラックスして、無理しないでね)The Sankei Shimbun (january 11 2010)
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