2012年5月17日木曜日

say on pay


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 sayは「言う」という動詞で、名詞としては「意見」。payは、動詞では「支払う」。日本語でも「ペイがいい」などというように、「給料」「報酬」という名詞でもある。そこで、say on payは、「報酬に関する意見」。問題は誰の報酬で、誰の意見か、ということ。ここでは、大企業の役員報酬に関して株主の意見を諮ることを指す。
 ウォールストリート・ジャーナル(2008年2月27日付)は“‘Say on Pay’Gets a Push, But Will Boards Listen?”(「報酬への意見」は後押しされるが、経営陣は耳を貸すだろうか)との見出しで、“activist shareholders”(モノ言う株主たち)の圧力が高まる中で、企業内でも役員報酬に関して株主の意見を聞こうとする機運が出てきたと報じた。
 大手通信事業のベライゾン社が、各社に先駆けて昨年5月の株主総会で役員報酬額の賛否を諮ったところ、賛成は50・18%と過半数をわずかに上回る程度だったという。この採決に拘束力はないが、ニューヨーク・タイムズ(2007年5月19日付)は、“Say-on-Pay Gets Support at Verizon”(ベライゾンで「報酬への意見」は支持)の記事で、“the clearest sign yet of investor irritation over chief executive compensation”(トップの報酬に対する投資家の苛立ちを示すこれまでの明らかな兆候)と書いている。 
これを受けてゼネラル・エレクトリックやIBMなどが、今年の株主総会で“say on pay”を検討しているという。
 実際、米国の大企業の役員報酬は、大リーグのスター選手の年俸並みに突出しており、しばしば批判されてきた。たとえば、ベライゾンのCEO(最高経営責任者)の報酬は年間ざっと2千万㌦(約22億円)、過去5年間で1億㌦に上ったという。大企業のCEOと一般社員の給与格差は200-300倍という大きなもので、ここ半世紀で10倍以上になったとの試算もある。ウォールストリート・ジャーナルは“Executive pay has been climbing at rates as high as 13% a year.”(役員報酬は、年率最大で13%の伸び)と「生産性や成長率を上回っている」と指摘。
 なぜ、こんな格差が生まれるのか?役員報酬を役員自身が決めるという〝お手盛り〟だからである。それだけに、誰かが監視の目を光らすべきだという意見が出てくるのは当然。“say on pay”は豪州、英国など制度化されてきたが、米国では昨年、〝経営者報酬監視強化法案〟として米議会下院で可決、上院で審議されることになった。
 “say on pay”が法制化されれば、corporate governance(企業統治)に変革が起こることは間違いない。だが、経営陣の抵抗は大きい。こんな法律ができたら、業績を上げるのはもちろんのこと、株主に対してこれまで以上にペコペコしなければならない。大企業のCEOなんかやるもんじゃない、ということにもなりかねないから…。The Sankei Shimbun(March 16 2008) 

 注 On July 31, 2009, H.R. 3269, the "Corporate and Financial Institution Compensation Fairness Act of 2009" passed the House of Representatives. The House bill included a section that allowed for a 'say on pay' for all public institutions in the United States. Additionally, it had a provision for a shareholder vote on golden parachutes. In the Senate, Senator Charles Schumer has introduced the Shareholder Bill of Rights. The House and Senate bills were reconciled in a final bill that was signed by President Obama on July 21, 2010 called The Dodd–Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act.