all-you-can-eatは、カタカナ読みは「オール・ユー・キャン・イート」。文字通りの意味は「あなたが食べられるすべて」だが、単語を全部ハイフンでつなぐと「食べ放題」となる。食べ放題のバイキングは日本でも大流行だが、英語では、all-you-can-eat buffet(ビュッフェ)と呼び、今ではbuffetといえば、食べ放題を指すまでになった。
米国では、この「食べ放題」がballpark(野球場)にも登場した。大リーグがシーズン入りし、USA TODAYは“All-you-can-eat seats for 2008”(2008年の食べ放題シート)と題して、サービス内容を紹介している。それによると、今シーズンは大リーグ30球団のうち13球団以上が食べ放題の〝特別座席〟を設置。値段はアトランタ・ブレーブスの30㌦からセントルイス・カージナルスの200㌦まであって、大半は30-55㌦。では、何が食べ放題かというと、ホットドック、ナチョス、ピーナッツ、そしてソフト・ドリンク。高額になるほどハンバーガーやピザなど品数が増えて、一部にはビールの飲み放題もある。
all-you-can-eat seatsは、オークランド・アスレチックスが2006年にホーム・グランドのスタジアム改修工事にともない、ファン・サービスの一環として設けたのが始まりとされる。昨シーズンは6球団で試験的に行われたが、今シーズンは倍増。席数も格段に増えているという。“A hot dog at the ballpark is better than a steak at the Ritz.”(球場で食べるホットドッグはリッツ・カールトン=高級ホテルのレストランで食べるステーキよりうまい)と言われるぐらい、手に汗握りながらゲームを観戦しつつ、もう一方の手でホットドッグをむしゃむしゃ食べ、コーラをガブ飲みするのが醍醐味だ。いくら食べても飲んでも、値段は同じ。“Baseball and gluttony are two of American’s favorite pastimes.”(野球と大食いはアメリカ人お気に入りの娯楽)というわけだ。
これに対して、米ダイエット協会(ADA)は“It’s disgusting. Why can’t people just enjoy game and eat sensibly?”(胸が悪くなる話だ。なぜ、ゲームを楽しむだけにして、分別ある食べ方ができないのか?)と渋い顔。 ダイエットや健康問題の関係者は、「食べ放題」に当然批判的だ。米疾病対策センター(CDC)は、「今や米国の成人の3人に1人が肥満という〝危機〟にある」としたうえで、高カロリーの食事をむやみに提供することが肥満を助長すると、口をすっぱくして警告する。
だが、それでもall-you-can-eatの試みは、減るどころか増える一方だ。なぜか?多くの米国人にとって、何を食べようと自分の勝手だ、というのが本音だから。そこで今日も“Help yourself to all you can eat!”(セルフサービスで食べ放題!)。“Fear of obesity? Mind your own business!”(肥満の恐れ?大きなお世話だ!)The Sankei Shimbun (April 27 2008)
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