Illustrated by Kazuhiro Kawakita |
priceはカタカナ読みでは「プライス」。英米の辞書では一般的に“The price is what you pay if you buy something.”(何かを買う場合に支払うもの)で、「代価」と定義される。支払いに使われるのはもっぱら金銭であるから、「価格」「値段」となるわけ。
米国の最近のメディア報道でhigh prices(高値)という言葉が登場しない日はない。pricesとsをつけたのは、上がっている価格が1つではないからだ。oil(石油)の値上がりにともないgasoline(ガソリン)が値上げ。それに、ガソリン税が追い討ちをかける。 wheat(小麦)、rice(米)、corn(トウモロコシ)などの食糧の値上がりも世界規模だ。単にrise(上がる)といった生易しいものではなく、soar (舞い上がる)、skyrocket(うなぎのぼり)と手がつけられない状態。タイム誌は2008年2月末に“The World’s Growing Food-Price Crisis”(世界的な食糧価格危機)と報じたが、とくに惨状を呈しているのは開発途上国である。米国でfall(下落する)、decline(低下する)のは、home prices (住宅価格)とinterest rate(金利)だけ。
“Who is responsible for these price hikes?”(こんなに何もかも値上がりして、責任者出てこい!)と怒鳴りたくもなろう。
ウォールストリート・ジャーナル紙(2008年4月29日付)は、“High Oil Prices Boost Shell Profit, Offsetting Lower Refining Margins”(石油価格の高騰でシェル石油は、精製の利益低下を埋合せて増益)と報じた(oilにも種類があるのでpriceにsが付く)。今年に入ってから原油価格は最高値を更新し続け、これまでに25%も値上がり。この結果、世界第2位の英・オランダのロイヤル・ダッチ・シェルの第1・四半期(1-3月)の純利益は、昨年同期比で25%増の90億㌦以上となった。
同紙の5月2日付は、“Exxon’s $10.89 Billion Net Disappoints Investors, Fuels Gathering Political Storm”という見出し。最大手の米エクソンモービルの第1・四半期の純利益は、108億9000万㌦。もっとも、予想よりも少なかったので、投資家をがっかりさせた、というのが前半の意味。それでも日本円で1兆円以上の巨額の利益を上げたのは明白で、国民の不満は増大、政治的な嵐に〝火に油を注ぐ〟というのが後半である。
実際、ここに来てガソリン税を一時的に〝棚上げ〟にするかどうかが、米大統領選挙戦の大きな争点になりそうだ。
だが、ロイター通信(4月29日)は、“Bush says no magic wand to lower fuel prices”(ブッシュ大統領は、燃料価格を下げる〝魔法の杖〟はないと語る)と報じた。大統領は、“If there was a magic wand to wave, I’d be waving it, of course.”(振るべき魔法の杖があれば、振るに決まっている)と言ったそうだが、そんな便利なものがあるのなら、大統領も要らないだろう。The Sankei Shimbun (May 18 2008) (注:この記事はそっくり2012年にも通用するところが怖い)
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